GS勤務17年が明かす超富裕層の「質問の目的」
私は新卒でゴールドマン・サックス証券に入社し、多くの富裕層と出会いました。同僚の中には年収1億円を超える人が少なくありませんでしたし、産油国の王族など「兆」を超えるお金を扱う規格外の富裕層との出会いも数多くありました。
彼らが富を築いたり、億単位のお金を動かす際には、質問力が大きくかかわってきます。それは、質問する目的が明確だからです。一般の人が質問をするときの目的の多くは、情報量を増やすことです。それに対して超一流の人は、自分自身の「判断の質」を高めるために質問をします。超一流の人には、さまざまな選択肢があります。ビジネスにしても資産運用にしても、さまざまな案件が次から次へと持ち込まれてきます。その中には怪しい話もあります。彼らは忙しいので、短い時間の中で決断をしなければなりません。そのために質問し、判断材料にするのです。
彼らはその場で結論を出すことを信条としており、判断を持ち越しません。だから、質問によって相手から何を引き出すかが重要になるのです。彼らの質問に感情が入る余地はありません。時間内に必要なことを根掘り葉掘り聞いてしまいたいと考えているだけです。質問を受ける側も時間内にすべてを伝え切らなければならないので、緊張感の中でやり取りが行われます。
超一流の人たちは「レバレッジ」という言葉を好みます。この人たちに任せれば、お金を増やしてくれるか。この人たちに働いてもらうことで自分がラクをできるか。そうした点を重視します。お金が儲かることはもちろん、いかに自分がラクをして儲けられるかが重要になるのです。
フレームワークで不明点を徹底消去
まず前提として、超一流の人の多くは、質問をする際にフレームワークを使っています。フレームワークを使うと、必要なことを漏れなく、ダブりなく聞くことができます。効率がいいですし、頭の中を整理するのに役立ちます。
よく使われる基本的なフレームワークとして、5W1Hがあります。5W1Hでは、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにやるか」の順に不明点をつぶしていくのです。あるいはマーケティングの3C、4P、5フォース、MECEなどもよく利用されます。質問しながら、フレームワークに当てはめて、「何か漏らしていないか」と考えながら、頭の中を整理しているはずです。
また、超一流の人は、事前準備を怠りません。徹底的に準備をして面談に臨みます。そして質問する前に「私はあなたの業界とあなたの会社について、ここまで理解してきました」と伝えます。そのうえで「競合する会社にはこんなところがあると考えていますが、もし齟齬があるなら教えてほしい。それが1点目です」「齟齬がなければ、○○について教えてください。私が聞きたいのはこの2点ですので、プレゼンテーションの必要はありません」と伝えます。仮に60分のミーティングであれば、最初の5分でここまで話を進めると、40分ほどの時間を削り取ることができます。
私自身もミーティングの前には、相当な準備をします。自分では「鬼リサーチ」と呼んでいますが、徹底的に調べ倒します。しかし、ミーティングの場ではそれをあまり出さないようにしています。代わりに言葉の端々で「あなたのことも、業界のことも実は知っていますよ」と匂わせながら、相手になめられないようにします。とくに若いときには自分より、10〜20歳年上を相手に質問したり、交渉したりしなければなりませんでしたから、「こいつわかっているな」と思わせることは大事でしたし、そのためにとにかく準備を徹底していました。
事前に会社のホームページで代表が挨拶していることや企業理念も調べずに面談に臨むと、ゼロから聞くことになります。相手は何も知らないあなたに対して、グーグル検索で得られるような表面的な話をはじめてしまいます。それに時間を割いても意味がありません。「基本動作として下調べはしていますので、今日はここでしか聞けない話をしてほしい」というスタンスで臨むのは、超一流の人たちのマナーです。
なぜ相手の失敗談を「兆人」は聞きたがるのか
質問をする際に超一流の人は、相手が話しやすい環境をつくります。鉄板は相手に武勇伝を語らせて、気持ちよくさせることです。事前準備で面談の相手を鬼リサーチしていると、相手がどんな話を好んでいるかが見えてきます。まずは相手が気持ちよく話せる琴線から攻めていき、「それはどういう話だったのですか」など、事前リサーチでは得られなかった部分を深掘りしながら、引き出していきます。
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