本連載では、“伝説のトップコンサルタント”堀紘一氏に、メルマガ編集チームがまとめたリーダーたちの悩みをぶつけ、ズバッと斬っていただきます。(2023年10月30日レター)

──日用品最大手の花王の業績低迷が続いています。花王は優秀なマーケティングと商品開発で知られ、長いデフレの時期にも連続増益を更新し続けて、経営の優等生と言われた時代がありました。ところが、かつて19%あった自己資本比率(ROE)は23年12月期予想で5.9%とされ、4兆円を超えていた時価総額も減少を続けています。花王の凋落はなぜ起きたのでしょうか。経営コンサルタントの視点から、堀さんはどのように分析されるでしょうか。

【堀】花王は、コツコツと地道に仕事を積み重ねてきた企業です。私の知っている花王の経営者もまさに会社を体現したかのような四角四面の人でした。いろいろな分析の仕方があると思いますが、私は、時代が変化して、「真面目にコツコツ」だけでは追いつかなくなってきているのではないかと感じています。たとえば、コツコツと小さな改良を重ねるのではなく、非連続的でイノベーティブな商品開発に挑戦する、広告宣伝のやり方を変える、といった経営が必要になっているのではないでしょうか。

(構成=今井道子)