日本の治安は再び悪化トレンドに入った

「日本の治安は(体感に反して)年々改善していて、刑法犯の件数で見ても減少している」――といった説もよく聞く話だが、そろそろアップデートが必要になってきている。というのも、じつは数年前から犯罪の件数は再び全国的に増加傾向に転じているからだ(※警察庁「令和5年の犯罪情勢」)

全国的に詐欺が急増しているほか、都内では最近メディアでもクローズアップされている押し入り強盗の増加が著しい。若年犯罪も減少トレンドがついに反転してしまった。さすがに他の世界的な大都市――ロサンゼルスやニューヨークなど――には現時点では程遠いが、しかし東京もまた「先の見えない若者」を大量生産するメガロポリスであり、その「先の見えなさ」は犯罪行為にはしるハードルを低くしてしまう。

写真=iStock.com/Oleg Elkov
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「東京」という街は想像以上に人を「呑み」にかかる

これから人の親になる者、あるいは年頃の子どもを持つ親たちには、私は伝えるようにしている。この「東京」という街が、想像以上に人びとを「呑み」にかかる街であることを。

今日この記事を読んでくださった読者のなかには、今年の年末に地元へと帰省する人がいるかもしれない。あるいは、帰省してくる子や孫を迎える立場の人もいるかもしれない。自分自身が、あるいは自分の大切な人がこの「東京」という街とかかわっているなら、この街の美しさと残酷さをどちらも知っておくべきだ。

見た目上の華やかさや新奇性はさながら誘蛾灯のようで、集まってきた若者たちを根こそぎかっさらい、問答無用で資本主義の「駒」として行動するように再構築する。生活のなかでとにかく金がかかるように仕向けるし、やたらと金がかかって貯えられず身動きが取れないような状況をつくりだす工夫を十重二十重とえはたえに張り巡らせている。いつまでもそういう存在でいてくれたほうが、もともと豊かな人にとっては好都合だからだ。

最後にもう一度だけ強調しよう。東京は「貧しい街」である。その「貧しさ」を覆い隠すほどの華やかな光が放たれているだけで。

たくさんの人がさまざまな思いを抱えながら集まるから、東京は年の瀬もいっそうまぶしくなる。

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