東京の不動産価格は高騰が続いている。このタイミングで買ってもいいのか。不動産コンサルタントの午堂登紀雄さんは「バブルの兆しはなく、待てば下がるわけではない。マイホームは欲しいと思った時に買うのが鉄則、一方で不動産投資を考えるなら狙い目の立地がある」という――。
一般人の年収では届かない
昨今の東京(特に23区内)の不動産価格は、もはや一般人の年収では住宅ローンが届かない水準まで上昇しており、なおかつ新築の供給が少ないので(山手線内はほぼ億ション)、中古物件ですら数年前の新築と同等かそれ以上の価格になっています。
そして都心ではもう高くて買えないという層が外へ外へと広がり、首都圏近郊のターミナル駅近くでも、昔の値段を知っている人には信じられない金額で取引されています。
不動産業者は「売るタマ(物件)がない」と嘆き、大手は大手で絨毯爆撃のように登記簿を取得しては所有者に「売りませんか」と攻勢をかけています(これもほぼ一巡した印象です)。
不動産投資家は「こんな利回りでは買えない」とスルーしていますし、銀行も「不動産の扱いが減った」とやはり嘆いています。
バブルの兆しはない
ではこの状況はバブルなのでしょうか?
結論から言うと、バブルの兆しはない、というのが私の印象です。
昨今の不動産市場は「何でもいいから買え」などという狂乱的なノリではなく、ほぼ実需(自分が住むために買いたいという客層)に支えられているからです(むろん点で見ればたとえば別荘地は人気で局地的なバブルと言えるかもしれませんが、マーケットとしてはあまりに小さい)。
特に都心部では家賃が高止まりしていることもあり、「家賃ももったいないし買ってしまおうか」と賃貸から持ち家に切り替えようという需要があります。
ただし都心部は高くて買えないので、手が届きやすい郊外路線周辺へと向かいます。
しかし考えることはみな同じですから、その郊外都市も値上がりし、住宅ニーズはさらに周辺へと波及し価格上昇が連鎖しているというわけです。