お年玉を子どもがマネーリテラシーを身に付ける機会にできないか。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「原則として、渡したあとは子どもに任せること。お年玉で節約を教えることは弊害が大きい。お年玉ではないが、ある親がした“ユニークなお金の渡し方”は一つの参考になる」という――。
お年玉を通じて子どものマネーリテラシーを上げる
もうすぐ新年。そして「お年玉」は正月を迎える子どもたちにとって大きな楽しみのひとつです。実際、お年玉をあげるご家庭の方が多数派だと思います。
そこでお年玉を通じて子のマネーリテラシー向上のために何ができるかを考えてみました。
ちなみに自分の子ども時代のことを思い出してみると、私もお年玉をもらっていましたが、その使い道を親から指図された記憶はありません。その使い方について、小言や説教を言われた記憶もありません。親から見てどんなにくだらない買い物でも、親は何一つ文句を言わず、私の判断・行動を尊重し見守ってくれました。
そんな自分の経験の拡大解釈だというのは自覚の上で、お年玉をあげたときの親の行動に関して、私は「子のお年玉の使い道を親が制限しない」ことは、子の自主性や判断力を養ううえでも大切なことではないかと考えています。
お年玉に限らずお小遣いであっても、あげた以上は何に使うかは子どもの判断に任せ、より満足度の高いお金の使い方を本人の経験から学び取ってほしいからです。
「目的のない貯金」を教えてはいけない
子どもがお小遣いやお年玉をもらったとき、「貯金しなさい」と言う親がいます。本人名義の預金口座に入れて使わせなかったり、親がいったん預かって管理するという方もいるようです。
もちろん、たとえば「今度出る新しいゲームソフトを買うために貯金するんだ」と子どもが自発的に貯金する分には構いません。それは子どもながらに「目的」があり、その目的を達成するために、今は何を優先させなければならないか、わかっているからです。
そうやって子ども自身の意志があって貯金するのなら問題ありませんが、何もなくただ「貯金しなさい」と命令するのは親の思考停止です。