物価急上昇の局面で、どのように資産防衛を図ればいいのか。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「私は数年前から円安やインフレを見越して資産防衛策を講じてきた。とくに固定費の削減は徹底しているが、流動費の節約で絶対やらないと決めていることがある」という――。
「物価」と「給料」と書かれたブロックが乗ったシーソー
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悪いインフレが進行中

コロナ禍による物流の混乱、ロシアのウクライナ侵攻による資源高、金利差による急速な円安により、物価が急上昇しています。

一方で給料など所得は上がっておらず、現状はスタグフレーションの様相を呈しています。

スタグフレーションとは「Stagnation(景気停滞)」と「Inflation(物価上昇)」を組み合わせた造語ですが、景気が停滞しているのにもかかわらず、物価が上昇し続ける現象のことで、「悪いインフレ」とも呼ばれています。

コロナで物流の混乱、工場の停止などによる資材や部品の不足などで、もともと資源高の傾向にありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて食料品までも全般的に値上がりしています。

さらに世界は利上げに舵を切っていますが、それとは真逆の低金利政策を維持する日本円はほぼ全ての通貨に対し売られまくっています。

そのため急激に円安に振れており、輸入物価に跳ね返るのは時間の問題です。

原油価格が上がれば、電気代やガソリン代はもちろん、原油由来のプラスチックや樹脂製品などの値段も上がります。私が契約していた新電力小売企業は事業停止を発表し、電力会社の変更手続きを余儀なくされました。

外食チェーンも続々と値上げしています。

ロシア産木材も経済制裁で入って来ず、その前からコロナで起きていたウッドショック(コロナによる住居ニーズが戸建てに移り木材不足)に拍車がかかって戸建てはもちろん、部材価格上昇でマンション価格も値上がりしています。

住宅ローンの固定金利が上がり始めた

日銀は大量に保有する国債の利払いが気になるのか、あるいは企業活動への影響を考慮してなのか、なかなか利上げには踏み切れないようですが、ローンの固定金利はすでに上昇を始めています。

現日銀総裁の任期は2023年春までで、次の総裁がどのような金融政策を取るかわかりませんが、このままインフレが続けば多少なりとも引き締めに走らざるを得ない可能性もあります。

すると住宅ローン金利も上がると予想されます。変動金利型を選ぶ人が8割を超えたといわれていますから、その影響は小さくないでしょう(一般社団法人不動産流通経営協会『不動産流通業に関する消費者動向調査(2021年度)』。

金利上昇でマイホームの買い控えで家が売れなくなったり、企業の設備投資意欲が減退すれば、様々な方面にマイナスの影響を及ぼします。

ロシアが戦争をどのように終わらせるのかはわかりませんが、終戦後も経済制裁は続くと思われますし、インフレを抑えるために各国の中央銀行は利上げしますから、日本も影響は受けることになる。

一方、賃上げは一部の大手企業や好業績企業(グローバル企業や輸出型企業)に限定され、多くの企業は一般家庭と同様に資源高と円安の影響を受けており、業績に先行き不安があります。