流通市場で15億円の物件が売買される
ホテルの客室を所有し、自身が利用しない時は貸し出す「ホテルコンドミニアム」。コロナ禍にもかかわらず、国内でも続々登場しており、海外だけでなく国内の富裕層を惹きつけている。
ホテルコンドミニアムとはどのような仕組みで、なぜ富裕層を魅了しているのだろうか。
例えば、2016年に開業した「フォーシーズンズホテルアンドホテルレジデンス京都」。ホテル棟とレジデンス棟(ホテルコンドミニアム)からなり、レジデンス棟の総戸数は57戸。リビングやダイニングに加え、キッチンや洗濯機が備えてあり、当時4億円台~10億円台で販売されたが、今では世界的な高級不動産仲介会社であるサザビーズのサイトで、2ベットルーム151平方メートル超の部屋が15億円で売り出されるケースもある。
京都だけではない。北海道のニセコでは、香港のPCCWグループが手掛け2020年1月に開業した「パークハイアット ニセコHANAZONO」もホテル棟とレジデンス棟からなり、レジデンス棟の分譲戸数は113室。
所有者は、オーナー専用のロッカーやプライベートラウンジなども利用できる。約1億8000万円で販売された約72平米の半露天風呂付の部屋の場合、東京都心部にある最高級マンションと遜色ない価格帯だ。メゾネットタイプでは10億円以上、ゲレンデに面した部屋では14億円を超える超高額物件も完売している。ほとんど富裕層限定のため滅多に売却物件が「表」に出てくることはないものの、当初販売価格以上の高値で売買されているという。
このニセコでは、ホテルコンドミニアムは約380棟(倶知安町)にまで増えており、この先も続々と高級ホテルコンドミニアムが誕生する予定だ。
例えば、韓国の大手デベロッパー「ハンファホテルズアンドリゾート」が手掛ける高級ホテルコンドミニアム「マティエニセコ」は、スキーイン・スキーアウトが可能な客室は35室。羊蹄山を一望できる5ベッドルーム約400平方メートルのペントハウスの販売価格は14億円を超える。2023年末には入居可能予定だという。
ニセコでの興隆を受けて、北海道ではルスツや富良野、本州では白馬や箱根仙石原、沖縄では、本島だけでなく、石垣島や宮古島などでも、ホテルコンドミニアムが誕生したり、新たに開発が計画されたりしているのだ。