ペットボトルキャップを捨ててはいけない

拭き取りシートだけではスッキリしないという場合は、ペットボトルを使った簡易シャワーを作って、水で洗う方法もある。作り方は500ミリリットルのペットボトルキャップ蓋に1カ所穴を開けて、ボトルに蓋をすれば完成する。頭皮から首筋、脇など全身をスッキリとケアできる優れモノだ。

さらに爽快感が欲しい場合は、簡易小型シャワーに天然ハッカ油を1、2滴垂らしてよく振って、即席ハッカ水を作る。この水を湿らせたコットンで身体を拭くと、さっぱりして気持ちもほぐれる。ただし、デリケートゾーンに使ってはいけない。

辻さんは臭いと汚れ対策のために、防災ポーチに天然ハッカ油スプレーを1本と、穴を開けた穴あきキャップを複数用意して持ち歩いている(飲料メーカーによってサイズが少し異なるため)。

撮影=プレジデントオンライン編集部
辻さんの防災ポーチの中身(一部)。右奥にあるのがハッカ油と穴あきペットボトルキャップ

くれぐれも香水は使わないように。余計に体臭が強烈になって逆効果になる。

見落としがちな「デリケートゾーン」ケア

身体の汚れによって、普段の健康な状態ではかからない「日和見感染症」のリスクが高まると、辻さんは注意を呼び掛ける。見落としがちなのが、陰部と肛門のデリケートゾーン、そして口腔の汚れだという。

「洗えないから清潔に保てず、カンジダや膀胱炎などさまざまな感染症にかかりやすくなるんです。膀胱炎は陰部のちょっとした傷口から尿道に菌が入り感染する。水分を控えてトイレを我慢したりするのも、感染の原因になります。

痛みや違和感を放置すると腹膜炎や急性腎盂炎、さらに悪化すると慢性腎炎になることもあるんです。被災地ではストレスで免疫が低下しているので、こういう感染症が多発する。災害モードで医師にかかりにくいために、身体に異変を感じても後回しにしてしまうんですよね」と説明する。

女性の場合、大腸菌が膣の中に入って膣炎や膀胱炎を起こしたり、清潔にしていないことでカンジダに感染したりしやすい。男性の場合は、尿道炎になるケースもある。

感染症を防ぐには、用を足した後、トイレットペーパーでごしごしと拭かずに、押さえ拭きするといいそうだ。男性の場合は、尿道口のお手入れも欠かさないように。