日本の災害復興は「遅れている」のか
日本は言わずと知れた災害大国だ。
元日に発生した能登半島地震では甚大な被害が発生し、被災地は復興に向け全力を注いでいる。
そんな日本の被災者支援に対して、何日間も学校の体育館で避難生活を余儀なくされ、おにぎりや菓子パンなどの冷たい食事が出されることなどを指して「日本の災害復興は遅れている」という声も聞こえるが、本当にそうなのだろうか。
筆者の暮らすブラジルも災害とは無縁ではない。南部では4~5月にかけて歴史的な水害が発生し、多くの住民が住処を追われた。
東日本大震災の被災地で初期の復興にも立ち会った、ブラジリア大学のイヴァナ・ジャロウィツキ教授(48)は「私の知る限り日本の災害対策は世界で最も優れています。日本では当たり前のように行われている災害復興が、ブラジルでは進まないんです」と嘆く。
未曽有の水害が襲ったブラジル
ブラジル南部で4月末から5月中旬にかけて発生した度重なる豪雨とダムの一部決壊により、リオグランデ・ド・スル州の多くの自治体が洪水による甚大な被害を受けた。州内全自治体の96%にあたる478市町村が被災し、死者182人、行方不明者31人を数え、浸水や家屋倒壊などにより約54万人が避難を余儀なくされた。5月10日時点での被害総額は80億レアル(約2372億円)と算出された。
川沿いの州都ポルトアレグレではグアイバ川の水位が過去最高の5.33メートルに達し、多くの家屋が水没した。市内の大小45万9000件の企業が被災し、国際空港は全面的な機能停止に陥った。
ブラジル南部はいま、未曾有の水害からの復興に直面しているのだ。