日本テレビのチャリティー番組「24時間テレビ」が今年も放送される。だが、2023年に系列局職員による寄付金着服が発覚するなど、番組はさまざまな逆風にさらされている。ライターの戸部田誠さんは「生みの親である都築忠彦プロデューサーは『日テレが潰れるまでやめられない番組』として企画を始めた。だからこそ、原点を見つめ直す必要がある」という――。
愛・地球博 長久手会場の愛・地球広場での「24時間テレビ 愛は地球を救う」の募金会場
愛・地球博 長久手会場の愛・地球広場での「24時間テレビ 愛は地球を救う」の募金会場(写真=Gnsin/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

原点は政治もストリップも扱う深夜番組だった

「愛は地球を救うのか?」

日本テレビ系列「日本海テレビ」元幹部による寄付金着服事件の発覚や、いわゆる「感動ポルノ」批判、そして視聴率低下などで存続が危ぶまれていた「24時間テレビ」(日本テレビ)が、1978年の番組開始当初から使われていた「愛は地球を救う」というキャッチフレーズをそのように変えて、今年も放送されることが発表された。約半世紀の間、続いてきた番組タイトルの意味、チャリティーの本質を見つめ直す“決意”をテーマに込めたという。

そもそも「24時間テレビ」の発想の原点は深夜番組「11PM」だった。「11PM」というと「サバダバサバダバ~」のスキャットに乗せてラインダンサーや裸の女性が描かれたアニメーションのオープニングが印象的で、リアルタイムで見ていない世代にとっては「深夜のお色気番組」というイメージが強い。しかし、「政治からストリップまで」を標榜していたように硬軟様々な企画をおこなっていた。

中でも象徴的なのが、月曜イレブンで展開されていた「巨泉 考える」シリーズ。このシリーズではポルノ映画を扱ったかと思えば、次の週では日韓問題を取り上げ、ストリップの妙技を題材にすれば、沖縄問題や性教育に斬り込んだ。音楽も選挙も等価で特集した。

「世界の福祉」特集が24時間テレビのベースに

このシリーズを手掛けた都築忠彦は「日韓問題をタブー視し、性が気になるくせに本音で語らない。そんな日本の建前主義を崩したかった」(「読売新聞」1992年5月25日)と語っている。

その中のひとつ「世界の福祉」特集が、「24時間テレビ」のベースになったことは有名な話だ。日本テレビ開局25周年記念番組の企画公募がおこなわれると、都築はこの特集をもとにした企画を応募。それが通ったのだ。最終的な承認を得るため、当時の社長・小林与三次にプレゼンすると「おもしろいことを考えるなあ」と満足気に頷いたが、しかし、こう続けたという。