人間は長い歴史をかけて食べ物を取り入れてきた

農薬や合成保存料、合成着色料、合成洗剤、輸入牛肉に投入されている合成肥育ホルモン剤などに含まれる化学物質も、免疫細胞たちにとっては「見知らぬ異物」であり、駆除すべきゴミとなります。

そもそも食べ物も異物でしたが、人間を含む多くの生き物は長い歴史の中でそれらを取り込み、有害でないと判断しながら生き残ってきました。私たちは、いまや多くの食べ物を簡単に消化できるさまざまな消化酵素を持つに至っています。消化酵素は、人類が身を賭して食べ物を体内に取り込んできた歩みの結晶でしょう。

このように、体に有害でないと判断された異物を攻撃しないよう制御免疫が働いており、このしくみは「免疫寛容」と呼ばれています。

タバコの煙や紫外線、ストレスやマイクロプラスチック…

ところが化学物質は人体の歴史上まったくの異物ですし、そもそも有害性があるものも多い。それらを消化するための消化酵素なんて持ち合わせていない。こうした、どう対処してよいかわからないものに対しては活性酸素が使われがちです。つまり化学物質を体内に取り入れれば取り入れるほど体内は活性酸素だらけになり、これまた体内のゴミを急増させてしまうわけです。

飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)

化学物質は、ほかに消化管で吸収され血液により肝臓に運ばれて分解され、尿として排泄されたりマクロファージなどによって処理されたりするルートもあるにはありますが、簡単に処理できない厄介なものであることには変わりありません。

ほかにもタバコの煙や紫外線、大気汚染、精神的ストレスなども活性酸素を生み出します。近年では、生態系のうえでも問題となっているマイクロプラスチックが人体にも取り込まれ、免疫細胞がこれを抱え込むなどして、機能障害に陥るケースもあることがわかってきました。

現代人の生活環境には、こうした免疫が正常に機能しなくなってしまう「免疫暴走」の火種となる、体内のゴミとなりうるものが思った以上に多いのです。

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