サウジアラビアに「報復する」と言ったバイデン氏の失態
しかし、すでにOPECプラス(OPEC加盟国に加えて、アゼルバイジャン、バーレーン、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダンの10カ国)のなかで、「原油は減産する」方針が決まっていました。それにもかかわらず、バイデン大統領は「増産してくれ」と石油価格に介入してきたんですね。
折しも、そのタイミングというのが、アメリカの中間選挙前でした。そのため、中間選挙でアメリカ国民から支持を得たいがためにガソリン価格を下げようとしているのか――とOPECプラスはとらえた。OPECプラス各国は、アメリカに対して反対の意を示し、そのまま増産することなく既定路線だった減産に舵を切ったといったことがありました。
すでに既定路線で決まっていたことですから、OPECプラスの判断は妥当でしょう。ところが、面子を潰されたと解釈したバイデン大統領は、OPECプラスのトップであるサウジアラビアを名指しで「報復する」と言ってしまいました。
「不信感」を募らせるだけのことをやってきた
アメリカとサウジアラビアは同盟国です。トランプ大統領のときは、サルマン国王やサルマン皇太子と仲睦まじく1枚の写真に収まることが多かった。そうした関係性を築いてきた同盟国に対して、報復という言葉を使ったわけですから、サウジアラビアも当然怒りをあらわにします。
恥をかかされたからといって、言っていいことと悪いことがありますよね?
ましてや一国のトップが、そんな言葉を使うのはどうかしている。バイデン大統領というのは、人権問題を得意としているにもかかわらず、こうした言動から察するに、とても高圧的な人に見えてしまいますよね。
不信感はいくつも束になっていくことで爆発します。中東という地域は、長年にわたってしいたげられてきた場所でもあります。アメリカ、西側諸国は、中東の人々が不信感を募らせるだけのことをやってきたのです。