旅客需要が激減し、エアライン各社は超大型機エアバスA380の使い道に頭を抱えている。だが、中東・ドバイを拠点とするエミレーツ航空は異なる。航空ジャーナリストの北島幸司は「エミレーツ航空はコロナ禍でも超大型機を飛ばし続けている。その理由を探ると、小さな国のエアラインという特別な事情が見えてくる」という――。
ドバイエアショー会場のA380
筆者撮影
ドバイエアショー会場のA380

超大型機に頭を抱える世界のエアライン

新型コロナの影響で世界中の人の動きが封じられ、どのエアラインも厳しい経営を強いられている。その中で、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点とするエミレーツ航空は他社と逆を行く戦略を続けている。

コロナ禍の人流減少で、大型の機体は一転して厄介な存在になった。世界で一番大きな総2階建ての旅客機「エアバスA380」はエアライン14社で導入されている。だが、大きすぎるがゆえにそのほとんどを運航停止させ、砂漠の空港などで13社が長期保管したままでようやく少数機数が定期便に戻りつつある状態だという。

全日空(ANA)も、ホノルル線に向けに2016年に導入を決めた3機を保有している。コロナ禍で納入されたが定期就航のめどは立っておらず、経営の重しとなっている。

コロナ禍でもこの超大型機を飛ばし続けているのがエミレーツ航空だ。同社が保有する118機の機材のうちおよそ半数の58機を継続運航させている。

なぜ乗客数が激減するなか、大型機を飛ばし続けているのか。本稿では、エミレーツ航空の狙いについて掘り下げてみたい。