【リスク②】運動不足

認知症のリスクも高める

中高年が抱える問題の中でも、脳の機能低下に大きく影響を及ぼすのが「運動不足」です。

体を動かすことは、脳の活性化につながります。脳が働かないと体を動かすことはできません。また、体を動かすと自主性が鍛えられます。体というのは、本人の意思がないと動かないものだからです。

「運動不足」は特に、メンタルに大きな影響を与えます。1日の終わりに「疲れ」を感じたとき、実は、そんな日に限ってほとんど歩いていなかった、ということがよくあります。体を動かさないことで、かえって「疲れ」を感じてしまうのです。

この後で説明する「睡眠不足」や「栄養不足」に「運動不足」が重なると、ダメージはさらに大きくなります。運動とまでいかなくても、日常生活でこまめに体を動かすことは、肥満の予防になるだけでなく、メンタルケアのかなめです。

【リスク③】睡眠不足

1日8時間睡眠が国際基準

近年、睡眠時間が6時間未満の場合、がん、糖尿病、うつなどの発症リスクが高まることが報告されています。こうした背景もあり、厚生労働省が2024年2月に公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は「1日6時間以上」を目安に睡眠時間を確保するように推奨しています。

しかし、現在の国際基準では、18歳から65歳の最適睡眠時間は「1日8時間」がもっともメンタルのトラブル(あるいは、うつ)を引き起こしにくい睡眠時間と考えられています。

日本人の場合、40・50代の男女とも睡眠不足であることがわかっています。「国民健康・栄養調査(令和元年)」によると、1日の睡眠時間が6時間未満の人が、40代男性で48.9%、50代男性で49.4%、40代女性は46.4%、50代女性は53.1%で、いずれも約半数を占めています。また、経済協力開発機関(OECD)による2021年の調査でも、日本人の睡眠時間は、加盟33カ国中最下位と指摘されています。

同調査で睡眠確保の妨げとなっていることを聞いたところ、男性は40・50代ともに「仕事」、女性は40代が「家事」、50代が「仕事」という結果でした。

また、「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すること」が、男女いずれの世代でも多くを占めています。仕事や家事にかける時間の短縮を心がけるのはもちろんですが、寝る前にメールやゲームなどに熱中するのは避けましょう。