【リスク⑧】自己肯定感の欠如

日本という独特の忖度社会

「自己肯定感」という言葉が、今やごく一般的に使われるようになりました。自己肯定感とは、「自分自身の価値を認め、存在を肯定する感覚」を指しています。

私のクリニックにも近年、自己肯定感が持てないどころか、「自己否定感」に悩まされている方がたくさん訪れます(自己肯定感の欠如というと、若い方の問題と思われるかもしれませんが、実は、中高年の方にもたくさんいます)。

自己肯定感を持てない人が急増している一因に、日本という国の特殊環境があるのではないかと私は考えています。日本ほど、さまざまな人間模様や上下関係が複雑に絡み合って、忖度そんたくが生まれる社会はありません。

自己肯定感が足りないと、左脳感情はますます鳴りを潜め、さらに自信がなくなって、外の世界に目を向けることに不安を感じるようになります。内向きになって狭い世界に閉じこもるようになってしまえば、好奇心が失われることは必定です。

電球の中にある脳
写真=iStock.com/BlackJack3D
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【リスク⑨】組織生活

左脳感情を抑圧する

右脳感情(=他人感情)と左脳感情(=自己感情)の問題を考えるときに、避けて通ることができないのが、「組織生活」です。

会社員であれば誰もが、その組織の中でどこに身を置き、どういったスタンスで日々を過ごすかを考えます。そして、その判断の基準となるのが「右脳(他人)感情」です。「社会人とはこういうものだ」「この会社(上司)ではこれが正しい」という価値観に従い、定年までの日々を過ごしてしまうのです。

それが結果として、「左脳(自己)感情」を抑えつけ、「好奇心の欠如」につながってしまうのです。