【リスク④】栄養不足

タイパ重視で食事を軽視
加藤俊徳『1万人の脳を見た名医が教える 好奇心脳』(プレジデント社)
加藤俊徳『1万人の脳を見た名医が教える 好奇心脳』(プレジデント社)

本来、私たちがもっとも好奇心を発揮すべきものは、「食べるもの」かもしれません。人間の体はすべて食べたものでできていて、当然のことながら、脳にも筋肉や骨と同じように、栄養が不可欠です。

にもかかわらず、現代人は「食事」、特に「栄養」に対する関心が低いように思います(正確にいうと、関心の高い人と低い人の差がとても大きいようです)。

あなたはどのくらい食事(栄養)に気を遣っていますか? 毎食のように、ラーメンや牛丼、ファストフードで済ませてはいないでしょうか。ランチタイムに、こうした店に並んでいる人々を見ると、若い人だけでなく、中高年も多いのは問題です。

タイパ(タイムパフォーマンス:時間対効果)重視で、食事を軽視している様子がよくわかります。これでは脳にとって必要な栄養を補うことはできません。

【リスク⑤】酸素不足

脳は酸素を消費して成長する

脳のために、特に注意しなければならないのが「酸素不足」です。

呼吸によって空気中から肺の中へ取り込まれた酸素は、血流に乗って全身をめぐります。脳に運ばれた酸素は、そのとき活動している「神経細胞」に受け渡されます。脳内に新鮮な血液が流れ込み、神経細胞の活動に必要な酸素が十分に行き渡ることで、脳は活性化します。

脳は活動する際に酸素を消費し、ごく軽度の低酸素状態になりながら活動をしています。脳の枝ぶりが新たに成長しようとするときには、特に大量の酸素が消費されます。

「酸素不足」になる要因の1つに、「口呼吸」があります。本来呼吸は「鼻呼吸」が基本ですが、多くの人が、鼻づまりなどで鼻呼吸ができず、口呼吸が習慣になってしまっているのです。

口呼吸は、睡眠中のいびきの原因になったり、舌根ぜっこんが沈下して気道を塞いで無呼吸を起こしてしまったりすることにつながります。