子供の成長のために、親にできることは何か。『子どもの隠れた力を引き出す 最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』(朝日新書)を書いた小児科医の成田奈緒子さんは「長時間勉強させても子供には逆効果だ。子供の脳をしっかり育てることを最優先に考えてほしい」という。成田さんへのインタビュー(後編)をお送りする――。(構成=文筆家・佐々木ののか)
おいしい食べ物の乗っていたお皿
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「早寝早起き」と「睡眠時間」が脳を育てる

前編からつづく)

――子どもの脳を育てるためには、どんなことに気をつければいいでしょうか。

もっとも重要なのは、規則正しい生活を心がけて睡眠時間を確保することです。睡眠時間にこだわる理由は、人間の脳が発達する順序にあります。人間の脳は、生後約18年かけ、大きく3段階に分かれて発達します。

私はこの3つのパートを、発達する順番に「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」と呼んでいます。「からだの脳」は生命維持にかかわる部分、「おりこうさんの脳」は受験やスポーツにかかわる部分、「こころの脳」は想像力や社会性にかかわる部分で、これらの発達の順番が変わることは決してありません。

読み書きや計算などの能力や、社会性を最も重視する親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、「からだの脳」が育たないことには、後に続く「おりこうさんの脳」も「こころの脳」もうまく育ちません。そして、脳の土台部分となる「からだの脳」を育てるために必要なのが、規則正しい生活と十分な睡眠時間なのです。

――子どもは何時に寝て、何時に起きるべきなのでしょうか。

未就学幼児であれば、本当は11時間の睡眠が理想ですが、現代の家庭ではなかなか難しいので、20時に寝て、6時に起きる10時間睡眠は守ってほしいと思います。小学生は、最低でも21時に寝て朝6時に起きる9時間睡眠。中高生は22時に寝て、朝6時に起きる8時間睡眠を厳守していただきたいと思います。

これは私自身が臨床現場で経験したことですが、22時に熟睡状態にあると、ない子どもに比べて成長ホルモンが多量に分泌されます。小学生はとくに成長ホルモンがたくさん出る年齢層なので、体を成長させるためにも睡眠時間だけではなく、就寝時刻もしっかり守っていただきたいですね。