子どもの幸せは親の幸せのうえに成り立っている
――本書のあとがきでは、成田さんの母親が不機嫌な日のほうが多い人だったという話を書かれていました。
私が子どもの頃の母は、本当にいつもイライラしていました。母の「地雷」をうっかり踏んでしまうと爆発的に怒らせてしまい、その後は1~2週間口をきいてもらえなかったり、服やレコードを取り上げられたりすることも日常茶飯事でした。私の成績不振にも敏感に反応するので、恐怖を感じながら生活していました。
――母親が常に不機嫌な理由は、なんだったのでしょうか。
いろいろと悪条件が重なっていたのでしょうが、不機嫌の理由は、深刻な睡眠不足にあったと思います。父の医院の膨大な事務作業を一人で担っていた母は、毎晩午前2時、3時まで持ち帰り仕事を自宅で行っていました。その後次々に大病を患ったことを思うと、体調不良も慢性的に続いていたのでしょう。
「いつキレるかわからない寝不足の母」と暮らして「気を遣う子ども」にならざるを得なかった私から親御さんに伝えたいことは、「まずは親御さん自身が心身を労わってください」ということです。子育てに熱心な親御さんほど、自分のことを後回しにしてしまいがちですが、親御さん自身が幸せでいれば、子どもの脳はおのずと育ちます。
自分の幸せのうえに子どもの幸せがあるのだと認識し、ぜひリラックスして子育てを楽しんでいただきたいですね。
(構成=文筆家・佐々木ののか)