ご飯を食べるだけで賢くなる「朝バイキング」

――子どもの脳を成長させるためには、家庭内でどんなことを心がけるべきでしょうか。

やれることはさまざまありますが、おすすめなのが朝食を工夫することです。我が家では、家族それぞれが好きな主食とおかずを必要な分だけ自由に取り分けられる「バイキング」のスタイルで朝食をとっています。そうすることで、「今朝は何を食べたいか」「どれくらいの量なら食べられるか」といった自分の食欲や体の状態をモニタリングする能力が身につきます。これは「おりこうさんの脳」にあたる前頭葉の一部による働きです。

昔から「いろいろな色の野菜をバランスよくお皿に盛ると、栄養バランスがとれるんだよ」と娘に伝えていました。幼い頃から知識を脳にインプットしていると、脳が発達したタイミングで栄養バランスの必要性を理解できるようになります。数えきれないほどの好き嫌いをしていた娘も、大人になった今では何でも食べられるようになりました。

お弁当を作ってみて気づいた母親のすごさ

――「子どものために完璧な料理を提供しなければ」と気負ってしまう親御さんも多そうです。

子どもと真剣に向き合う親御さんほど、手の込んだ料理を用意する傾向にありますが、思い切って子どもに料理を任せることも視野に入れてほしいと思います。私が運営する子育て支援事業「子育て科学アクシス」でも、脳育ての観点から、子どもに自分のご飯を作らせることを推奨しています。

先日、塾に行くときのお弁当を自分で作り始めた中学生の女の子がいました。お盆明けからはお母さんが作ってくれることになったそうで「自分で作ったときは好きなものばかり入れちゃって、茶色っぽかった。でも、お母さんの作るお弁当は色とりどりで、栄養バランスが整っているってこういうことなんだと初めてわかった。お母さんって本当にすごい」と話していました。お母さんも、娘さんからこのことを聞いてとても感動されていましたね。

日本の木の弁当箱
写真=iStock.com/yumehana
※写真はイメージです

子どもたちもいずれ自立しなければいけません。大人になったときに自分自身で栄養バランスを考えた食事を摂れるようになるためにも、食事において子どもに主体性をもたせることが本当の意味での食育につながります。