「生理食塩水で洗浄」することが大事

ではどうしたらいいのでしょうか。まず大切なことは、異物などが混入していては感染予防にも傷の治りにも妨げになりますから、まず砂利やくずなどが傷の中に入っていないかどうか、しっかり目視でチェックしましょう。

次に、傷自体の面をしっかりと十分に、“生理食塩水で”洗浄することが何よりも大事です。

ここでポイントとなってくるのは、「なぜ生理食塩水でなければならないのか?」という疑問でしょう。基本的には、傷の洗浄を行なうためには流水でも大丈夫です。おそらく一般的に外で子どもがケガをした、などの場合に、すぐに大量の生理食塩水を用意できる人は皆無だと思いますので。

ただ、なぜ可能ならば生理食塩水をお勧めしているのかというと、理由は主に次の2点によります。

写真=iStock.com/Kunlathida Petchuen
生理食塩水は傷にしみない(※写真はイメージです)

生理食塩水は傷にしみない

【理由その1】生理食塩水が一番傷にしみないこと

子どもの時に公園で擦りむいた膝の傷が、お風呂に入ったらものすごくしみて痛かった記憶のある方も多いでしょう。これは浸透圧という現象によるもの。

浸透圧とは、水分が濃度の薄い側から濃い側に移動する圧力のこと。

ここでは主に塩素くらいしか含まない濃度の低い水道水が、あらゆる物質を含む濃度の高い細胞内へと移動して、細胞が水を吸って膨張してしまうため痛くなるのです(鼻に水道水が入ると痛いのもこれが原因)。

ですから体内の細胞と近い濃度の生理食塩水を使ってあげれば、水道水を使うよりもずっとしみにくいのです(ドラッグストアで売っている鼻うがい液が染みないのは、このメカニズムによるのですね)。