「極右は怖いが、資本家マクロンも嫌い」の結果
それにしても、本来なら、共産政権の支持に回るのは貧民や労働者のはずが、今回、多くのフランス国民があえてそのリスクに踏み込んだのは何故だろう。それはおそらく、左翼メディアの報道の成果と、フランス人特有の反権力のDNAが重なり、「極右のル・ペンは怖いし、資本家マクロンは嫌い」となったためだと、私は思っている。しかしその結果、「ル・ペンは怖い」と思っている人たちは、本当はもっと怖い党を選んでしまったのではないか。
さて、これからの進展だが、著名な評論家やコメンテーターも、皆、お手上げ状態のようで、もちろん私など、予測の「よ」の字もできない。
ただ、誰が政権をとっても、フランスの「独立独歩」の精神は変わらないだろう。また、歴史始まって以来、関係が良好だった試しのない独仏両国だから、いまさらフランスがドイツに対して好意的になるとも思えない。ただ、これまではそれでも、ドイツとフランスは冷静に、EUを支える両輪としての役割をちゃんと果たしてきた。今後のフランスで、メランション氏の力がどの程度になるのかは不明だが、その協力関係にヒビが入るようなことになれば取り返しがつかない。
それなのに、メランションの勝利を手放しで喜んでいるドイツの左派の政治家、大丈夫だろうか? ル・ペン氏が政権に就かなかったということだけで舞い上がっているのだとしたら、あまりにも近視眼的すぎると思う。