中南米諸国の反米感情に変化の兆し

これはある意味、資本主義の力といってもいいだろう。経済的な豊かさが高まると、政府も強くなり、マフィアなど違法ビジネスに手を染めている連中をどんどん潰していけるようになる。今のメキシコは、まさにその段階まできているのだ。

かつて中南米といえば、反米感情が非常に強く、そのため左翼ポピュリズムが勢力を広げていたが、その流れも変わってきた。

エミン・ユルマズ『エブリシング・バブル 終わりと始まり 地政学とマネーの未来2024-2025』(プレジデント社)

2023年12月10日、アルゼンチンの大統領選挙で選出されたハビエル・ヘラルド・ミレイ氏が大統領に就任したのも、大きな変化の一つといっていいだろう。

ミレイ大統領は、アルゼンチン中央銀行を廃止して、米ドルをアルゼンチンの法定通貨にする、などの過激発言で知られており、実際に今後、アルゼンチンを立て直せるかどうかは、まだまだ未知数だ。だが、結果的にこれまでの社会主義的な経済運営は、ばら撒きを増やすだけで何の解決にもなっていなかっただけに、反米的なスタンスに対する限界を実感している人が増えていると考えられる。

反米感情が強いという点で、中南米諸国が中国にからめ捕られてしまうリスクはなきにしもあらずだが、今回のアルゼンチン大統領選挙の結果は、中南米諸国の反米感情を変えるきっかけの一つになる可能性を秘めている。

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