猛烈な“日本買い”がやってくる

「グローバル投資が日本にやってくる」と言うと、世界的投資家のウォーレン・バフェットが日本の5大商社株を買っていることが話題になったことから、「外国人が日本株を買いに走る」と考える人が多いと思う。しかし、グローバル投資の形は株式だけではない。半導体工場がやってくるように、これから日本に直接投資(FDI)をする動きが活発化していく。日本へのFDIは対GDP比1.1%で、2022年は中国を超えた。

これは何を意味するのだろうか。

海外からさまざまな企業がやってきて、日本で事業投資をする。事業投資は地元に雇用を生み、経済に貢献する。それが、日本のかなり地方のほうにまで行っている。半導体分野だけではない。インバウンド関連では、シンガポールの不動産投資ファンドが新潟・妙高高原のスキーリゾートに2000億円超の直接投資をすると報じられた。2兆円プロジェクトの大阪IRも同様だ。

つまり、日本にお金が集まる、ということなのだ。お金が集まれば人も集まる。人が集まれば情報も集まる。海外から直接お金が流れて、地方経済まで活発化していくと、今日本が抱えるさまざまな問題の解決につながる。

中国が虎視眈々と狙う海洋進出

経済力をつけた中国が今、虎視眈々と狙っているのが海洋進出である。

まずは図表1を見てもらいたい。南シナ海と太平洋、日本や台湾、フィリピン、ベトナム、そして中国が示された地図だが、普段、見慣れたものと違うことに気づかれたと思う。

そう、逆さ地図になっているのだ。日本の外務省や防衛省が、東アジア情勢について分析・検証をする場合、こうした地図が用いられるという。この地図を眺めていると、中国の海洋進出に関する意図が、よく理解できる。

中国はこの地図上に2つの線を引いた。日本列島、台湾、フィリピン、南シナ海に至る「第一列島線」、そして日本列島から小笠原諸島、グアムを結ぶ「第二列島線」を引き、そこから内側に外国の勢力が入ってこないようにしているのだ。

ちなみに、この列島線は中国が勝手に引いているものであって、この線内にあるほかの国の考えや事情は、一切考慮していないことは言うまでもない。きわめて身勝手な話といっていいだろう。