毎日サイゼリヤで食事をする理由
【ヨッピー】サイゼリヤが高いわけなくないですか⁉
【正垣会長】いえ、「まだ高い」「まだまずい」という気持ちは持っていなければダメなんですよ。私が「これは、安くて美味しい!」って満足しちゃったらもうやることが無くなっちゃうじゃないですか。だから、「もっと安くできないか」とか「もっと美味しくできないか」ということをずっと考えながら食べるんです。
【ヨッピー】サイゼリヤ以外のお店に食べに行ったりはしないんですか?
【正垣会長】昔はね、たまには中華も食べたいし、和食も食べたいし、って色んなお店に行きましたけど、今はもうサイゼリヤにしか行かないな。
もちろん、ひとり何万円もとるようなお店にも行きましたよ。でも食べ物に対する考え方がまるで違いますよね。そういったお店はどちらかといえば食事というより芸術に近いじゃないですか。それに対してお客さんがお金を払う。
でも、仕事柄全部わかっちゃうんですよ。これなら原価はこれぐらいだし、あれを使えばもっと安く美味しく作れるな、とか。そうなると段々ばからしくなってサイゼリヤ以外に行かなくなっちゃいました(笑)。
サイゼリヤが潰れるなら本望
【ヨッピー】サイゼリヤを初めて美味しいと思ったのは、入院中に食べた時だったそうですね。
【正垣会長】そうそう。本にも書いたエピソードですけどね。入院している時に病院食が口に合わなくてね。どうしても食欲が湧かなかったんですが、先生に「食べないと元気になりませんよ」って怒られてね。見かねた妻がサイゼリヤに行って、当時はテイクアウトもしてなかったからこっそり料理を容器に詰めて持ってきてくれたんですよ。
さっき言った通り、私はいつも「まずい」「高い」って文句を言いながらサイゼリヤで食事をするんですが、その時はすごく美味しくて「これ、どこの料理⁉」って聞いたら、妻が「サイゼリヤですよ。最後の晩餐のつもりで持ってきました」って。
その時は嬉しかったですね。「こんなに美味しいなら、これをもっと美味しくするのが私の使命だ!」って。それで喜ぶ人が増えればこんなに良いことはないですね。もし、サイゼリヤより美味しくて、安いお店ができてそのせいでサイゼリヤが潰れたらそれも本望だと思ってますよ。つまりそれって、今よりたくさんの人が喜んでる、ってことですから。
(後編〈「初デートにサイゼリヤはちょっと違うかもね」正垣泰彦会長がヨッピーに明かしたサイゼの最高の楽しみ方〉へ続く)