※本稿は、堀埜一成『サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
イタリア人が「マンマの味」とべた褒め
会社はお客さまの言動を管理することはできません。できるのは、商品やお店を管理することだけです。そのため、お店で出すメニューには徹底的にこだわります。
サイゼリヤの価格帯だけを見て「安かろうまずかろう」と連想する人は以前より確実に減ったように思いますが、そうしたイメージを払拭するためにひと役買ってくれたのが、ピエモンテ生まれのイタリア人通訳のマッシさんこと、マッシミリアーノ・スガイさんです。彼がまとめたnoteの記事「サイゼリヤの完全攻略マニュアル3」は120万PVを超えるアクセスを集めました。
マッシさんいわく、「サイゼリヤは本当に最強すぎ。コスパは良すぎて量もあるし味も本場イタリアに近い。しかも、安い。イタリア人として、大満足でまるでイタリアに帰った気分になる。感謝! Grazie Saizeriya!」とのことで、サイゼリヤを「マンマの味」と称して、べたぼめしてくれました。
本場イタリアより安くイタリア料理を提供
東京にマフィアの末裔というイタリアンレストランの経営者がいて、その人も、サイゼリヤのパスタは家庭の味だと言ってくれました。パルマ産生ハムにしろ(本書執筆時点では、家畜伝染病の「アフリカ豚熱」の侵入を防ぐために輸入停止中。代わりにスペイン産のハモン・セラーノがメニューに並んでいる)、オリーブオイルにしろ、モッツァレラチーズにしろ、イタリアの食材をそのまま使っているからです。しかも、本場イタリアより安く提供できています。
なぜそんなことが可能なのかといえば、サイゼリヤがめちゃくちゃな量を買っているからです。
イタリアにあるレストランは大半が個人商店で、チェーン店というのがほとんどありません。個人商店ですから仕入れる量には限りがあります。一方、サイゼリヤは国内だけで1000店舗強、海外を合わせると1500店舗以上(2023年8月)もありますから、扱う量がそもそも違います。