なぜ「ミラノ風ドリア」を300円で出せるのか

1973年創業のサイゼリヤは半世紀の時をへて、国内1055店、海外485店(2023年8月期)まで店舗数を増やしていて、多くのお客さまに受け入れられています。看板メニューのミラノ風ドリアは1日1店舗あたり約100食、つまり、毎日日本中で10万食売れている計算です。

堀埜一成『サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
堀埜一成『サイゼリヤ元社長が教える年間客数2億人の経営術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

これだけ人気のある商品ですから、過去に何度もコンビニや冷凍食品の挑戦を受けています。実は、ミラノ風ドリアというのはサイゼリヤの完全オリジナル商品で、イタリアのミラノに行ってもそんなものはありません。ナポリタンが日本発祥で、ナポリとは何の関係もないように、ミラノ風ドリアもミラノとは無関係なのです。

ところが、「ミラノ風ドリア」が料理名として定着したせいで、他社も似たような商品を出してきます。サイゼリヤは「ミラノ風ドリア」を商標登録していないので、名前まで同じ商品もあります。

でも、どれだけ他社から攻撃を受けても、サイゼリヤのミラノ風ドリアはびくともしません。サイゼリヤと同等レベルのものをつくるには、日本では1000円を切ることも難しい。それをサイゼリヤは税込み300円で出しているのです。

ただの「安いイタリアンレストラン」ではない

価格勝負をしようと思えば、品質を犠牲にするしかなく、味で対抗しようと思えば、値段を上げざるを得ません。だから、サイゼリヤの優位はそうやすやすとは崩れないのです。

では、なぜサイゼリヤはミラノ風ドリアを税込み300円という低価格で提供できるのでしょうか。広告費をかけないというのも理由のひとつですが、実は、もっと根本的な違いがあります。その秘密については、本書の中で明かしていくつもりです。それを読めば、サイゼリヤがただの「低価格のイタリアンレストランチェーン」ではないことがわかっていただけることでしょう。

圧倒的な安さとおいしさを実現できるのには、ちゃんとした理由があるのです。

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