「エステサロンを経営しないか」と友人に誘われ起業

「エステサロンを経営しないか」と大学時代の友人に誘われたのをきっかけに起業。まったく知識のない美容業界で、しかも女性向けのビジネスです。店舗スタッフは20代の女性。経営者である3人は男性で、お店には立ち入りません。ただ、おかげで自然と経営に集中できたのがよかったのかもしれません。創業後は順調に売り上げが増え、店舗を増やし事業を拡大。創業してから10年で、グループ売り上げは50億円弱、最大50店舗を構えるまでになりました。

ビジネスが大きく成長した12年の暮れ、私たちは分社化に舵を切ります。事業が大きくなるにつれ、経営陣3人のやりたい方向性が少しずつ違ってきたからです。

私は会社を大きくしたいと考えていました。理由は中国で起業した学友たち。彼らはもっとスケールの大きなビジネスを展開しており、会うたびに「私もやるぞ」と触発されていたのです。

分社化した後に事業を拡大、修羅場の始まり

分社化した後の13年。自分ですべて決断できることになった私は勝負に出ます。一気に5店舗を増やし、引き継いだ店舗を合わせて25店舗まで事業を拡大しました。ただ、ここからが修羅場の始まりでした。

いきなり事業を大きくしたためか、まず組織がガタガタになりました。エステサロンの従業員は20代、30代の女性です。出産や育児などのライフイベントが重なり、これまで事業を支えてくれた一人前の社員が十分に稼働できない。規模を拡大しても、人材が不足する状況に陥ったのです。

また、スマホの登場も大きかった。情報が平等にみんなに行き渡るようになり、安いエステに消費者が集まるようになりました。昔であれば高単価で契約を取れたエステの単価が、一気に下がりました。結果として、売り上げもガクッと下がってしまいました。