「人のため、正しく、仲良く」
「人のため」には、ある種の自己犠牲が伴います。
「もっと自分を大事にしよう」「ラクして儲けよう」というメッセージにあふれた今では、自己犠牲は流行らないかもしれませんね。
しかし自己犠牲こそ、実は幸せになる近道なのです。そこには、犠牲を何十倍も上回るほどの、圧倒的な「喜び」があります。
自分を犠牲にしているようで、実は何ひとつ犠牲にしていません。むしろ、もらっているもののほうが多いのです。
私は「人のため」と思うとき、心の奥から力が湧いてきます。そもそも、自分が儲けたり得するよりも、人に喜んでもらうほうが、なんとなくうれしい感じがするはず。
あなたもそう思いませんか?
サイゼリヤの基本理念は、「人のため、正しく、仲良く」です。
サイゼリヤの経営は、けっして順風満帆ではありませんでした。絶体絶命のピンチのとき、迷い、苦しむとき……、私はいつも「人のため、正しく、仲良く」という理念に立ち返ってきました。すると、進むべき道が見えてくるのです。
この理念に従って決断や行動をしたとき、どんな苦境であっても、乗り越えられなかったことは、一度もありません。
「つながり」の中で導かれ、物事が「みんなが幸せになる方向」へと進んでいく。この世界のすべてが味方として加勢してくれている……そんな心地がしたものです。
なぜミラノ風ドリアは300円なのか
「人のため」というのは「利他」のことで、私の最も根幹にある考え方です。「自分のため」では、曇ったメガネをかけているようなもの。
「人のため」なら、お客様や大切な人が何を望んでいて、どうすれば喜んでもらえるのかを、ありのままに見ることができます。私たちはつながりの中で生きていますから、そのつながりの先にある「人」やこの世界すべてのことを思い、少しでも役に立とうと考えるのは、ごく自然なことではないでしょうか。
サイゼリヤがどんな思いで、どのように、ミラノ風ドリア(300円)をはじめとするお値打ちの料理を提供しようとしているのか。
利他の心で、「人のため」にできると、あなたはこの世界と調和していきます。オセロの黒が白へと一気に変わるように、ピンチはチャンスに、敵は味方へと変わっていくことでしょう。