「何らかの形で前に進む」ことができる

もちろん、「投資のレベルが大きいことだし、もう少し時間が必要だ。私とAさん、Bさんと、プロジェクトに最も深く関係する部署の責任者で、もう一度今週中に30分集まって決断しよう」と社長が再提案することもあるかもしれません。

また、「Aさんに完全に同意するよ。この1ページ資料にも納得したし、裏付けの数字も問題ない。あとは任せたよ。何かあったら、いつでも相談してくれ」と一任されてしまう可能性もあります。

反対していたBさんについては、「反対していたけど、Aさんの資料を見て、話を聞いてみたら良いかもしれないと思えてきた」となる可能性もあるでしょうし、「まだ納得したわけじゃないけど、みんなで話し合った結果、社長が決めたことだから仕方ない」と飲み込んで一緒に進む道もあるでしょう。

いずれにしても「会議の時間をオーバーして話してみたけど、何も決まらなかったね。また持ち帰って次回話そうか」とはならず、何らかの形で前に進むのがこのタイプの企業です。

写真=iStock.com/BlackSalmon
「何らかの形で前に進む」ことができる(※写真はイメージです)

モチベーションも高く保たれる

【ステップ3】改善のためのPDCA

無事にプロジェクトを任されたAさん。

プロジェクトを進めてみると、想定通りの部分と想定外の部分が出てきました。

取り決め通り、定例会議で進捗しんちょくについて報告し、改善しながら進めていきます。

「○○は思っていたように計画通りで、□□は、想定外でした。したがって、予定を修正して進めます。関係部署に今後、一層のご協力をお願いしたい」

こうした正しいプロセスを多くのプロジェクトで繰り返している企業は、チームとしてお互いの考え方・働き方への理解が深まり、個人的な仲の良さ・相性は別として「組織として前に進んでいく」ことに慣れていきます。

また、至るところで活躍していた1ページ資料は、Aさんのチームが作っていたことも見逃せません。

自分の準備した資料が使われ、それに対して決断がなされ、組織が動いていくわけですから、次世代の彼らのモチベーションも高く保たれています。