――しかし、この大不況時代、業績が上がらないのも無理はないのでは?

確かに企業の商品開発能力や販売企画力の問題もあるでしょう。ただし、こと営業においては、倍の成績を挙げようと思ったとき、一番簡単なのは訪問先を倍にすること。分母を多くすればいい。実はできない営業マンに1日のスケジュールを聞くと、かなり余裕を持たせている人が多い。こういうタイプは空間管理を考えていないケースが多い。訪問先を近場に集中させたり、効率的な移動ルートを考えさせれば、倍は無理でも1.5倍くらいには増やすことができるものなのです。本当はこういう細かい工夫を日常において常に心がけることこそレバレッジだと思います。しかし、本人も上司も場当たり的に営業活動をしている。そんな企業ほど業績悪化が目立ちますね。

――長谷川さんが考える、真のプロ社員像とは、どういう人材ですか?

それは“ミニ社長”型の人材です。会社全体の仕事を俯瞰して、自分の行動を考えることができる人。常に『こんな場面では、社長ならどう判断するか』という思考をする人。逆に上司に命じられた仕事をただこなしている人は、いつまでたってもプロにはなれません。

上昇:仕事がうまい人 
停滞:数字を残せない人

なぜか数字を残せない人や結果を出せない人の最大の原因は、その人が能力や天分、スキルに欠けているからではありません。たったひとつ、執着心が弱いのが原因です。

学校の成績と、仕事での数字の最大の違い――それは、学校では70点を取れば落第しませんが、仕事では常に100点を目指さなければならない。1点足りない99点では、失敗というケースが往々にしてある。