ガソリンスタンドが減り続けている。経営コンサルタントの石原尚幸さんは「ガソリンスタンド業界はほかの業界より早く需要減、価格競争、後継者難という3つの問題に直面した。現在、生き残っている店舗から日本企業が学べることは多い」という――。
ガソリンスタンドがどんどん姿を消している
ガソリンスタンド(以下、GS)減少傾向が止まりません。ピーク時は6万カ所を超えていたGSは2022年度末現在2万7963カ所と、30年で半減しました。近所のGSが突然閉店してしまった……という体験を多くの人がしているのではないでしょうか?
実は、この「GS減少傾向」には日本企業が抱える問題点が凝縮されています。裏を返せば、GS減少傾向の要因がわかれば、日本企業が抱える問題点がわかり、かつ、この問題を解決するためのヒントも得ることができます。
そこで、石油業界出身で、長年GS特約店の経営コンサルティングを行っている筆者が、「GS減少傾向」の背景を解き明かし、停滞する日本企業が再浮上するための処方箋を提示します。
都心部では若者の「クルマ離れ」が深刻
GS減少傾向は次の3つの要因で説明ができます。
1.人口減少と技術転換に伴う需要の減少
2.価格競争によるマージンの低下
3.人材難
2.価格競争によるマージンの低下
3.人材難
1.人口減少と技術転換に伴う需要の減少
ガソリンの需要は2005年をピークに減少を続けています。この背景には、人口の減少と技術転換があります。日本の総人口は既に減少傾向にあり、高齢化も進んでいます。現状維持を続けてきた自動車の保有台数も減少しつつあり、カーシェアの普及も相まって、都心部では若者のクルマ離れが顕著です。
さらに、技術の進歩によりハイブリッドに代表される高燃費車の普及が需要減少に拍車を掛けました。近年では、電気自動車(EV)の普及が加速していますが、それでも国内におけるEV販売台数は国内販売台数(約420万台)の2%程度のため、一部メディアで騒がれるほど、需要へのインパクトは現段階ではありません。
しかし、政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、EVの普及を推進しています。これにより、ガソリンの需要の減少は今後も進むと予測されます。