“子どもの小遣い”レベルの低利益ビジネスに
2.価格競争によるマージンの低下
価格競争が激化していることも要因になっています。ガソリンは汎用品であること、(当然ですが)味見できないこと、この2つの要因が重なることで差別化が困難な商品です。これに先に述べた需要減少が重なったことで、限られた需要の奪い合いが起こり、消費者にとってわかりやすい「価格」が差別化ポイントとなってきました。
事実、隣のGSより1円/リットル安く売るだけで販売量は飛躍的に伸びます。この事実に基づき、2000年台初めには外資系石油会社を中心に「他店より安く売る」という方針が出され、業界全体を巻き込んだ価格戦争へと発展していきました。
この結果、GS側のマージン(1リットル当たりの利益)は10円/リットル以下となり、満タンで給油してもらっても“子供の小遣い“程度の利益しか残らない、低収益ビジネスへと転落していきました。
「募集すれど誰も来ず」で閉店するしかない
3.人材難
さらに、人材難も大きな要因です。まずは経営者。多くのガソリンスタンド特約店は家族経営であり、後継者がいない場合、事業を継続することが難しくなります。
上記1、2で見てきたように、GSを取り巻く環境は決して楽なものではなく、安易な気持ちで事業を継承できる事業ではありません。事業を受け渡す側からすれば、後継者に自分と同じ苦労をさせたくないとの気持ちがあり、事業をもらう側としても、将来性が見えづらい事業をもらっても、その事業を成長発展させていくだけの器量が自分にあるかを考え、躊躇する後継者も多くいます。
さらには、整備士の減少とGSの職場環境へのマイナスイメージ(外で働く、その割には報酬が少ない等)から、現場スタッフの人材難が顕在化しています。以前は募集すれば集まった中途採用も、ここ数年は「募集すれど誰も来ず」といったGSもあります。結果、事業としては存続の可能性がありながらも、経営者不在、スタッフ不足で閉店に追い込まれている店舗も散見されます。
以上3点がGS減少問題の要因です。
整理すれば、需要減、価格競争、人材難、いわば「三重苦」です。1997年トヨタハイブリッド車販売開始、1998年セルフスタンドの解禁を号砲に、2000年代初頭から現在まで、GS業界はこの三重苦にどの業界よりもいち早く直面してきました。
6万カ所あったGSは3万カ所を切りましたが、逆を言えば、残りの半分は生き残った強くたくましいGSです。この三重苦を乗り越えたGSの共通点はどこにあったのでしょうか?