それは、ほんの1カ所のチェック漏れが大事故やリコールにまで発展する危険性があるからです。

ですから100%を目指し、ギリギリまで粘る心の強さは、仕事のプロとしての第1条件。

そしてそのための努力を惜しまない人には、それなりの結果や上司や取引先からの信用がついてきます。反対に数字を残せない人というのは、『70点でOKだろう』という学生気分が抜けない人なのです。

――そういう人が部下の場合、どういう指導をすればいいのか?

例えば1000本のニンジンを切ってくれと頼まれたとしましょう。それだけではウサギにあげるのか、何かほかの料理の材料になるのかがわかりません。すると、『ま、叱られない程度にやっておくか』と考えるのが人間です。

しかし作業前に、このニンジンは幼稚園児の給食になるのだ、と知ったらどうでしょうか。『細かく切ったほうが園児は食べやすいだろう』とか『傷んでいる部分があったら除いておかなきゃ』と心配りをするはずです。

つまり、自分の仕事の意味を知れば知るほど、仕事に対する執着心は生まれてくるということ。

私が現役時代、部下たちに『ミニ社長になれ』と言ったのも、自分の仕事がどう利益に結びつき、どう会社に貢献できるかを常に考え、仕事をやることの意味を深く知ることにつながると思ったからです。

――では、具体的に“仕事の意味がわかっていないな”と感じるケースには、どんなものがあるのか?

給料が天から降ってきていると思っている人があまりにも多い。会社に行けば給料が出る、と思っているような人にいい仕事などできません。特に営業マンの場合、売りっぱなしの人はダメです。顧客から入金があってはじめて営業の仕事は終わります。

しかし、契約書を交わしてそれで仕事が完了と思っている人が少なくありません。しかし、キチンと結果を出す人というのは相手の支払い能力も勘案して契約を取ってくる。そんな些細な気遣いの差が結果的に大きな成果となって表れるのです。