「初心者だから分からなくて当然」と考えるべき

私にも、そんな経験があります。

ちょっと興味があったので政治に関する勉強会に行った時のことです。私にはまったく内容がわからなくて、とても居心地が悪かったのです。しかもその時は、みんなでグループ・ディスカッションをしなければなりませんでした。「なんでこんなところに来てしまったんだ……」「全然わかっていない自分はバカにされてしまう」と考えてしまってすごく疲れました。

本当は、参加者はみんな良い人なのですが。しかし、振り返ってみると、そうなった原因は、「政治のことをちゃんと知っていなければならない」と思い込み、自分は何者かということを見失っていたからなのです。最初から、「ビジネスはわかるけれど政治のことはまったくわからない初心者」というありのままの自分でいれば、疲れることも緊張することもなかったと思います。きっと、わからないことを気楽に楽しく質問して成長できたと思います。

このように、ありのままの自分を明確にしないと、人間は被害者キャラになりがちなので要注意です。

その場に合わせて肩書きを変える必要はない

被害者キャラのデメリットは、自分が嫌な気持ちになることだけではありません。自分を過度に大きく見せようとしてしまうのです。これは、ありのままの自分を見せることに不安があるからです。

「バカにされるんじゃないか……」
「興味を持ってもらえないんじゃないか……」

こんなふうに自信がない時は、自分を大きく見せたくなります。しかし、ありのままでないと違和感が相手に伝わります。すると、お互いに話しにくいし、信頼関係も築けません。その結果、居場所ができず、評価もされず、快く思われないという状態を招いてしまいます。

今井孝『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)

私のクライアントの中には起業を目指すサラリーマンの方もいます。ある時、そのうちの一人から、こんな質問を受けました。

「今井さん、ビジネス交流会に行く時、どんな肩書きにすればいいですか?」

どうしてそんな質問をするのか不思議に思って尋ねたら、「起業家が多くいる中にサラリーマンが行ってバカにされないだろうか」と心配していたのです。しかし、そうやって自分を大きく見せるための肩書きを作っても意味はありません。バカにされまいとして、無理やり考えた肩書きで名刺を作り、さもすでに売れているように振る舞っても、実情は5分話せばバレてしまいます。

取って付けたような肩書きは本当のキャラ設定にはならないのです。

関連記事
「そうなんだー」という薄い反応が会話の温度を下げる…コミュ力抜群な人がやっている"相槌の種類"
「お疲れさまです。××です。」と名乗ってはいけない…一流がビジネスチャットで使っている「最高の書き出し」
「それって感想ですよね」は理屈がおかしい…「屁理屈で論破してくる人」を一発で黙らせるシンプルな返し方
名刺交換で「ちょうだいいたします」は大間違い…ビジネスシーンで頻繁に見かける「恥ずかしい日本語4」
なぜ見た目は上品なのに知性を感じられないのか…信頼されない人が無意識にやっている"話し方の悪癖"