人の心を動かすにはどんな話し方をするべきか。経営コンサルタントの今井孝さんは「理屈や上手い話し方よりも真剣なことが伝わることが重要だ。私が知っている経営者は、起業家に投資するかどうかを決める際はほとんど話を聞かないが、最後にたったひとつの質問をする」という――。(第2回)

※本稿は、今井孝『誰でもできるのに9割の人が気付いていない、話し方・つながり方』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

人前で話す人のイメージ
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人の心を動かすのは「話し方のうまさ」ではない

本稿では共感される話し方、そしてつながり方について解説します。

例えば、緊張してうまく話せないというシーンについて考えていきましょう。取引額の多いお客様の前だと頭が真っ白になる。気合いを入れたプレゼン資料なのにまったく反応がない。ここぞという時の自己紹介ほどグダグダになる。このように緊張してうまく話せない理由は、実は「うまく話そう」という気持ちが強すぎるからです。

しかし、本当にうまく話すことが重要なのでしょうか? 人はうまく話すから評価するのでしょうか? 話し方や話す内容によって判断されるのでしょうか?

意外かもしれませんが、人が心を動かされるのは「話し方のうまさ」でも「話す内容」でもありません。それは、話している人がどんな姿勢でいるかです。どんな思いを持って、その話をしているのか? どれだけ真剣に臨んでいるのか? 声や表情、態度や身振り手振りなどに表れる、あなたの気持ちを相手は見ているのです。

以前、「すごい人に会ったので、自分の地元でその人のセミナーを主催したいと思っている」という相談を受けました。「あの人の話はすごい! 地元の人にとって、きっと役に立つと思う!」と熱意を持って語ってくれました。

しかし、彼女が動き始めてみると、周囲の反応は、「この辺りでセミナーにお金を払う人なんていないよ」「3000円ぐらいでないと誰も来ないよ」という冷めたものだったといいます。それでも彼女は挫けずに、その講演の参加費を「1万円」という強気の設定にしました。なぜならそれだけの価値があると感じていたからです。

しかし、いざ集客を始めると、まったく人が集まりません。チラシを渡して誘っても、誰も申し込んでくれないのです。いろいろと質問が来るだけで、それに答えても、また違う質問が来る、その繰り返しだったそうです。