キャラを明確にするには枕詞が効果的

そこで発言を求められた時は、最初に一言こう言えばいいのです。

「技術の人間としては」

この枕詞があると自分のキャラ設定が明確になります。あとは自分の思ったこと、感じたこと、何を言っても大丈夫です。

「技術の人間としては、皆さんのお話は半分ぐらいしか理解できなかったのですが、私たちの作ったものを一生懸命に営業してくださって本当に感謝しています」
「技術の人間としては、営業の話は難しかったのですが、皆さんが売りやすいものを作るようにこれからも頑張ります」

このように自分の立場を明確にしてから発言すると、率直な感想を話すだけでも納得感がありますし、自信を持って発言できるでしょう。勉強会や交流会など、初めての場所に行った時も同じです。感想を求められたらいいことを言おうとせずに、「初参加だったんですけれど」とひと言添えて、あとは素直な気持ちを伝えれば問題ありません。

「初めてなので難しくてわからなかったんですけれど、これから勉強させていただきます」
「初参加でドキドキしたんですけれど、いい人ばっかりで安心しました」

このくらいで大丈夫です。むしろ、正直な感じがあって、好感を持たれるんじゃないでしょうか。キャラ設定を明確にするということは、簡単なわりにこのぐらい強力なのです。

資料を見て話をする人たちのイメージ
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

それぞれの立場に役割がある

「格上の人と話す時に緊張してしまう」というケースでも同じです。

例えば、会社の上司や社長、またはパーティで会った業界の有名人などに対して、「何を話せばいいかわからない」「気を使う」「緊張する」ということもあると思います。この緊張も、自分が何者なのかを忘れているのが原因です。

私が新入社員の時、会社の役員と新入社員が交流する機会がありました。私も他の同期たちも、役員たちは雲の上の存在だと思い、緊張するし何を話していいかわかりませんでした。その時、常務取締役の一人が、緊張する新入社員たちにこう言ってくれました。

「社長だからえらいわけではなくて、社長というのも単なる役割だよ」

そして、さらに野球を例にして「役割」について説明してくれました。野球では、4番バッターはたくさんのホームランを打つヒーローかもしれません。しかし、そんな強打者だけでは野球はできません。1番バッターは「出塁する」、2番バッターは「バントでランナーを2塁に送る」など、それぞれの打順のバッターに役割があります。全員がそれぞれの役割を果たすことで試合が成り立つのです。

4番バッターがえらくて他はえらくないなんてことはないのです。それぞれ役割が違うだけで、誰もが重要な存在なのです。