「こうあるべき」と考えると自信を失う

実は、大阪のおばちゃんたちは、こう思っています。

「私は大阪の人間なので英語なんて話せなくて当然」

どこに行っても大阪弁で貫くのは、「大阪の人間」と自分のことを認識しているからです。つまり、自分のキャラ設定がありのままで明確なのです。専門的な言葉で言うと、自分自身のアイデンティティや自分軸をしっかり持っているということですね。

一方で、「英語が話せないから会話ができない」という人は、自分が何者なのかということより、「こうあるべき」という考えに囚われてしまっている状態なのです。「海外では英語で話さないといけない」「要求が通じないのは英語が話せない自分のせいだ」と思ってしまうわけです。実は、話し方やコミュニケーションの問題の多くもこれが原因です。

・よく理解していない会議なのに、「良い意見を言わなければならない」と自分でハードルを上げてしまう。
・初めての勉強会や交流会で、「知識がない自分が恥ずかしい」と思って何も話せなくなる。
・よく話す人を見て、「自分はあんなにうまく話せない」と落ち込む。

このように、自分のキャラ設定を間違っていて、さまざまな「こうあるべき」に呑まれて自信を失っていくわけです。

“キャラ設定”を間違えていないか確認すべきだ

しかし、自分のキャラ設定が「ありのままの自分」であればどうでしょうか?

例えば、大阪のおばちゃんがインフルエンサーを見ても、「私はあんなうまくできへんわ!」と思うだけでしょう。また、勉強会や交流会の場でも、「みんな頭いいねぇ、すごいわ」くらいの感想を、気楽に話すのではないでしょうか。自分は大阪のおばちゃんなので、それを知らなくて当然だし、うまくできなくて当然と考えていて、「うまくやらなければならない」とは考えないのです。ですので、どんな場所でも緊張しないし居心地の悪さがありません。

大阪の街のイメージ
写真=iStock.com/shih-wei
※写真はイメージです

「うまく話せない」と悩んでいる時は、話し方のテクニックの前に、自分のキャラ設定を間違えていないか? をまず確認してみてください。あなたはいったい何者なのでしょうか?

その場所で「良いこと」を「うまく」話す必要があるのでしょうか? きっとそんな必要はないはずなのです。そして、居心地の悪い思いをする必要もないのです。

「会議で発言できない」という悩みもキャラ設定で解決します。例えば、営業部門の会議に参加して、「何の話かまったくわからない……」という技術部門の人の場合を想像してみてください。ここで、「何か良いことを言わないと」と思うと、頭が真っ白になるでしょう。しかし、わからない会議で良いことは言えません。