ビジネス文書で最も使用される括弧

以前、私はビジネス文書の研究をしており、クラウドソーシングにおける発注文書を分析していました。この発注文書の見出し2万8896件を調査した結果、最も多く使用されていたのは、【 】(隅付括弧)で62%、次に多かったのは( )(丸括弧)で26%、「 」(かぎ括弧)は8%のみ、という結果でした。

さまざまな括弧があることは先ほど述べましたが、ビジネス文書の見出しにおいては、これら3種類の括弧だけで全体の96%を占めていることがわかりました。

では、最も多くみられた隅付括弧の実例をみてみましょう。

5.【至急】ウェブデザイン変更のお願い

6.【7/17〆切】記事作成のリマインド

隅付括弧は黒い部分が他の括弧よりも多く、非常に目につきます。ですので、上の2例のように、用件を端的に表す表現を隅付括弧のなかに書くと、読み手に内容がすぐにわかります。

この隅付括弧はメールでも多用されています。実際に、私に届いている直近のメールを確認してみたところ、以下のような隅付括弧がありました。

【リマインド】【ご確認お願い】【科研費・補助金】【12/7実施予定】【お知らせ】【ご相談】

このように隅付括弧を使うことで、情報を目立たせることができ、どういう類のメールが来たのかが本文を読まずともわかるようになっています。

出所=『日本語の大疑問2』より

丸括弧のあとの句点はどこに打てばいいのか

目立たせるための括弧があれば、目立たせないための括弧もあります。それは、丸括弧です。丸括弧は、地の文にすると冗長となる情報を書くことによって、文をスッキリみせることができる符号です。

以下の7.では、「1階のホール」の場所の詳細が述べられています。また、8.では、急には来訪しないことを、昔のテレビ番組に喩えて冗談のように言っています。

7.先に1階のホール(正面の玄関入ってすぐのところです)に集合してください。

8.伺う際には事前に連絡しますので、ご安心ください。(「突撃!隣の晩ごはん」みたいに急に来ません笑)

丸括弧は、地の文に書くと複雑になってしまう情報や、わざわざ地の文に書くほどでもないことに使うとよいと言えるでしょう。

話は変わりますが、地の文と丸括弧があるとき、みなさんはどこに句点をつけますか。

9.ミーティングですが、明日の8時でお願いします(朝早くて申し訳ありません)。

10.ミーティングですが、明日の8時でお願いします。(朝早くて申し訳ありません)。

11.ミーティングですが、明日の8時でお願いします。(朝早くて申し訳ありません。)

12.ミーティングですが、明日の8時でお願いします(朝早くて申し訳ありません。)。

もしかしたら私が示した例以外の方もいるかもしれません(ちなみに私は9.の句点のつけ方をします)。このように、括弧と句点の組み合わせには、あいまいな部分が存在することがわかります。