2月1日からスタートする2024年度の東京・神奈川の中学入試よりひと足先に関西圏で本番の入試に突入した。中学受験塾を主宰する矢野耕平さんは超難関として知られる灘中の国語の知識問題「漢字しりとり」に着目。そこには、「学校側が受験生やその家庭に求めるものが端的に表れている」という。果たして読者の皆さんは正解できるだろうか――。
灘中学校・灘高等学校
撮影=プレジデントオンライン編集部

偏差値71の灘中の「漢字しりとり」に挑戦!

2024年1月13日に灘中学校の入試(1日目)が実施された。1日目の国語入試問題では、読解問題に加えて、かなり「クセのすごい」言語知識問題が毎年のように出題されている。そのうちの1つ、「漢字しりとり」問題を今回は取り上げよう。同中の偏差値は東京の開成の72に次ぐ71(日能研)で、関西では断トツの難関であり、大人であっても、すぐに正解に辿り着くのは至難の業かもしれない。

[2024年度灘中学校(1日目)国語 大問6より]

次の〔例〕とI~IIIの漢字しりとりは、1~4の〔条件〕を満たしています。これについて、後の問いに答えなさい。

〔例〕漢(A)―(A)作―作(B)―(B)景―景(C)―(C)議

I 法(A)―(A)注―注(B)―(B)角―角(C)―(C)胸

II 街(A)―(A)明―明白―白(B)―(B)力―力(C)―(C)破

III 母(A)―(A)得―得(B)―(B)情―情実―実(C)―(C)師

〔条件1〕それぞれのA・B・Cの漢字を適切な順序で並べると、三字熟語になります。
〔条件2〕どの漢字も、すべて音読みです。
〔条件3〕どの漢字も、読み方は毎回同じとは限りません。
〔条件4〕三字熟語は、次のア~オのいずれかの意味です。

ア 季節の感じをよく表している事物。
イ 影絵が映し出される器具で、「思い出が次々と心の中に現れる」時のたとえとして用いられる言葉。
ウ 自分の考えの中に入れないでおくこと。
エ だしぬけに行動に出るさま。
オ 武道やスポーツで重んじられる三つの要素をならべたもの。

問1 I~IIIの(A)~(C)に入る漢字をそれぞれ答えなさい。
※〔例〕では、A「詩」・B「風」・C「物」。

問2 I~IIIの(A)~(C)に入る漢字を並べかえて、三字熟語をそれぞれ答えなさい。
※〔例〕では、「風物詩」。

問3 問2で答えた三字熟語の意味として、最も適当なものをそれぞれ〔条件4〕のイ~オから選び、記号で答えなさい。
※〔例〕で答えた「風物詩」の意味は「ア」。

「中学入試の問題って小学生が解く問題だろ」と甘く見た人は、ひょっとしたらその難しさに驚くかもしれない。同中の1日目の国語は80点満点であり、この「漢字しりとり」は解答欄1つを1点と数えると15点もある。

関西圏を中心に指導する塾講師によると、2~3年前までは灘の1日目の国語はいま以上に難解な知識問題が多く、さほど得点できなくても問題はなかったらしいが、最近はこれらの問題を取りこぼさないことが肝要だという。不正解となると即、合否に直結する可能性が出てくるのだ。