「時間を忘れて」喜びを感じるひとときはいつ?

さぁ、あなたにとって大切なものは何だろう。

人生は「時間」でできている。つまり、どんな人生を生きたいかは、どんな時間を過ごしたいか、ということだ。

あなたは、どんな時間を過ごしたいのだろう。

もっと言うと、あなたが「時間を忘れて」喜びを感じるひとときとは、どんな時間だろう。誰と、どこで、何をしているときだろう。

あなたは、身体中から嬉しさが込み上げてくる瞬間、お腹の底がかっと熱くなるような瞬間を体感したことがあるだろうか。あったとしたら、それはどんな瞬間だったのだろう。何が嬉しかったのだろう。なぜ嬉しかったのだろう。

あるいは、日常生活で自分の機嫌が良いと感じるのは、どんなときだろう。機嫌が良いときは、なぜ機嫌が良いのだろう。機嫌が悪いときは、なぜ機嫌が悪いのだろう。

自分の機嫌を丁寧に見ていくと、その奧底に、自分が本当は何を大切にしたいと思っているかが見えてこないだろうか。

「友達に会ったりする時間はほとんどない」

ところで、デンマーク人にインタビューをしていて感じたことがある。

「芯」があるのだ。

大半の人が、どんな質問も「わからない」では終わらせない。きちんと言語化しようとする。正直、インタビューに回答してくれた人たちのレベルの高さに驚いた。

インタビューをしていて、こんな人たちが集まっているから国際競争力が高いのか、と妙に納得してしまった。

自分にとって大切なものが何かをわかっている。大切なものを守るために、優先順位をハッキリつけて、優先順位の低いものはバッサリ切る。その切り方が潔くて、カッコいい。

大企業で管理職をする夫とともに3人の子育てをしながら、コペンハーゲン市のアートホールの運営統括をしている女性ヘリーネも、私がカッコいいと思った一人だ。

私の1時間にわたるインタビューには、犬の散歩をしながら応じてくれた。

写真=iStock.com/Charday Penn
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最初はビデオ通話でお互いの顔を見て始まったインタビューだったが、ヘリーネは私に、インタビュー中に声さえ聞こえれば問題がないことを確認すると、サングラスをかけ、スマホのビデオカメラを切り、スマホをポケットに入れて、犬の散歩を始めた。

こうして音声のみのインタビューが始まった。

私がまず、ヘリーネに聞きたかったことは、「組織のトップとして仕事をしながら3人の子育てをするのは、大変ではないのか」という率直な疑問だった。

フリーランスという自由な働き方をしているにもかかわらず、2人の子育てで手一杯になっている私には、そんな重責を担えるとは思えないからだ。しかし、ヘリーネは軽やかにこう答えた。

「そうね。そんなことないわ。日常生活には、ゆとりがある。私はいい日々を送ってる」