※本稿は、針貝有佳『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「人生で一番大事なことは、楽しむこと。新しい人に出会うこと」
午後4時に帰宅するのに、国際競争力が高いデンマークの人びとは、いったいどんな働き方をしているのか。「効率的な働き方」とは、いったいどんな働き方なのだろうか。
という本題に入る前に、ひとつだけ確認しておきたいことがある。
私たちは、何のために働くのか、というテーマだ。
皆さんは、何のために働いているのだろうか。仕事が好きな人も、仕事が嫌いな人も、一度立ち止まって考えてほしい。
あなたは、なぜ今日も働き、明日も働くのだろうか?
お金を稼ぐことの目的、働くことの目的を突き詰めて考えていくと、「私たちがこの人生で大切にしたいものは何か」という、ひとつの根本的な問いに辿り着く。
ここで、私がインタビューしたデンマーク人の声を聴いてみよう。人生で大切なものは何か、という質問への回答だ。
「人生で一番大事なことは、楽しむこと。新しい人に出会うこと。僕はそのために一人旅にも出る。あと、健康でいたい。自由を感じられる経済的ゆとりも必要だね。大切なのは、お金そのものではなくて、お金があるからこそ感じられる自由の方だ」(ヴィンセント・男性)
「そうね。昔は働いてばかりだったことを、今、後悔している。私はキャリアの階段を上るために、長時間、夜遅くまで働いていた。でも、もうそんな働き方はしたくない。今、子どもは大きくなって、自分が何者なのかを見極めて進路を決定する大事な時期にいる。子どもがこの家を出て行く前に、できるだけ一緒に過ごして対話したい」(カトリーネ・女性)
「最期の瞬間には、自分の人生に満足していたい。お金持ちになる必要はない。偉くなる必要もない。ただ、満足感があればいい。友人や子どもが僕の喜び。子どもが元気で、いいパートナーに出会って、嬉しそうに過ごしている姿を見るのは嬉しい」(イェンス・男性)
「人生で大事なことは、僕自身が元気でいること。健康な身体で、喜びを感じて過ごしたい。だからスポーツをしている。あと、一緒にいて気分が上がる人たちと一緒にいたい。一緒にいて憤りを感じる人や、ネガティブな気分になる人とは、一緒にいたくない。お互いの幸せを喜び合える人たちと過ごしたい」(カーステン・男性)