個人参加型の運動より、球技の方が寿命は延びる?

1日30分の散歩程度の運動に加えて、私がすすめたいのは、週1回、何かスポーツをすることです。

コペンハーゲン調査という研究があります。デンマークのコペンハーゲン市内在住の成人(8477人)を25年にわたって追跡調査したもので、運動習慣がない人とある人の平均寿命の差を明らかにしたものです。

おもしろいのは、スポーツ種目別に、どのくらい寿命に差があるかまで示していることです。

結果は、1位からテニス(9.7年)、バドミントン(6.2年)、サッカー(4.7年)、サイクリング(3.7年)、水泳(3.4年)、ジョギング(3.2年)、健康美容体操(3.1年)、ヘルスクラブでの活動(1.5年)となっています。

スポーツ種目によって週あたりの運動時間の差はありましたが、運動実施時間の影響は少ないこともわかりました。

おもしろいのは、テニス、バドミントン、サッカーと、上位3つがいずれも球技であること。ジョギングやヘルスクラブでの活動は基本的に個人参加型の運動であるのに対し、球技は参加者どうしのコミュニケーションが生まれることに違いがあるのかもしれません。

ですから、ジョギングのように1人で孤独になって走るようなスポーツではなく、運動仲間がつくれるような運動がよいと思います。

スポーツをやるなら仲間づくりがおすすめな理由

ジムの運動でも、あいさつできるような仲間がいれば、やり方のコツを教えてもらったり、お互いにはげましあったりするなど、コミュニケーションが生まれます。

これからスポーツを始めるなら、スクールに通うという方法もあります。テニススクールや水泳スクールなどに通えば、インストラクターから技術を教えてもらうだけでなく、参加している者どうしのコミュニケーションも増えるでしょう。

学生の頃やっていたスポーツがあるなら、スクールなどに通って再開させればよいと思います。スクールならレベルに合わせて指導してくれるので安心ですし、仲間もつくりやすくなります。

また高齢者にはゴルフの経験がある人が多いと思います。定年してからやらなくなっているなら、昔の仲間を誘ってゴルフを再開させるのもよいでしょう。孤立によるフレイルの予防にもなります。

コペンハーゲン調査の研究者たちも、こうしたコミュニケーションに注目しています。コミュニケーションをとることがストレスの解消になり、メンタルヘルスが向上することが、寿命の延伸にもつながっていると考察しています。

ですから、スポーツをやるなら、ぜひとも仲間をつくってもらいたいと思います。