ゴルフの上達にはなにが大事なのか。ストレッチトレーナーのきまたりょうさんは「ゴルフでは『手打ちはよくない』と言われるが、それは『筋肉のつながり』を意識できていないからだ。この意識が変われば、体幹と腕を一体化させ、力強い安定した動作を手に入れられる」という――。

※本稿は、きまたりょう『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ゴルフをする男性
写真=iStock.com/torwai
※写真はイメージです

かたい部位だけをほぐしても、身体は改善しない

私がストレッチトレーナーとして働き始めた頃、お客様の中に、身体が一向に変化しない人が一定数いました。伸ばす部位を変えてみたり、関節にアプローチしたりと試行錯誤しましたが、正直お手上げ状態でした。

この悩みを解消するために様々に勉強した結果、「全身のバランスを総合的に見なくてはならない」という結論に至りました。

身体の専門家、特に整体師などが「身体はつながっているからねぇ」と言いながら、コリを感じる部分ではなく、別の部位を施術されたこと、もしくは見たことはないでしょうか。

身体に詳しくない人からすれば、「よくわからないけどいろいろつながっているんだな」ぐらいの認識ではないかと思います。

そのように施術をするのは「全身の筋肉のつながり」へバランスよくアプローチをしていくことが重要だからです。

怪我しやすい人は筋肉のつながりのバランスが悪くなっている状態がほとんどで、怪我しにくい人は全身が総合的にバランスが整っていることが多いのです。

本稿では専門家ではない一般の方でも「筋肉のつながり」を理解できるように、身体がどのようにつながっているのかの一例、そしてその「つながり」を知ることでどのようなメリットがあるのかなどをなるべく専門的な言葉を使わずにお話ししていきたいと思います。

筋膜は「納豆のネバネバ」のようなもの

まず、全身の「筋肉のつながり」を知ることで得られるメリットを主に3つ挙げましょう。

①運動のパフォーマンスが上がる
②怪我予防になる
③セルフケア・メンテナンスの効果が上がる

これらのメリットをご説明する前にそもそも全身の「筋肉のつながり」の説明からしなければ理解しにくいかもしれません。

ここでいう「筋肉のつながり」とは「筋膜」が筋肉同士をつなげているということです。

まず筋膜というと多くの人が「筋肉を覆っている膜でしょ」と想像するかと思いますが、厳密には筋肉だけでなく、骨、靭帯じんたい、内臓、神経、血管など様々なものを包んだり、へだてたりしています。

筋肉を包んでいる膜のことは日本語では「筋筋膜」と呼び、骨を包むものを「骨膜」と呼び、それぞれ名称があります。

それらをまとめて「筋膜」(専門的には英語でファシア)と呼びます。

筋膜は想像以上に3次元的な組織です。

誤解を恐れずに表現すれば、納豆をかき混ぜたときのネバネバ部分が筋膜で、豆の部分が筋肉や骨です。すべての豆がネバネバを介してつながっています。