「筋肉のつながり」を意識すると怪我も減らせる

上記の2つの「つながり」はあくまでもイメージがしやすいように説明しましたが、他にも様々な「筋肉のつながり」を使って動いています。

先ほどの「らせんのつながり」などに加えて腕と対角にある脚を連結させる「運動のつながり」などもゴルフのスイング動作に大きく貢献しています。その他、テニス、水泳など競技においても「筋肉のつながり」を理解することでより効率的な動作を可能にします。

②「筋肉のつながり」を知ることで怪我予防になる

程度の差こそあれ、どんなスポーツにも怪我はつきものです。例えばテニス肘と呼ばれる肘の痛みは主にバックハンドの動作などの繰り返しによる負荷が蓄積されて起こります。

軽度であれば、この時に患部を休ませれば良いと考えるかもしれませんが、より根本的にこの怪我を予防するにはやはり「筋肉のつながり」を理解することがおすすめです。

ゴルフの手打ちの件と同様に、テニスの動作もいかに体幹と腕が強調して動くかが重要です。特に肘や手首などは痛めやすい部位です。体幹と腕を一体化させて動かすことで、打つときの衝撃を脆弱ぜいじゃくな部位だけでなく体幹にまで分散させることができます。

さらに一体化することでより力強い安定した動作になります。

もちろん限度を超えた繰り返しの動作は部位を痛める要因になりますが、「筋肉のつながり」を意識することでより怪我をする可能性を減らせます。

テニスをプレー中の女性
写真=iStock.com/gilaxia
※写真はイメージです

親指寄りの力は胸に、小指寄りの力は背中に届く

体幹から指先にかけての2つの「筋肉のつながり」があります。

①親指から身体の前側で胸の奥の筋肉へとつながるライン。②小指から肩甲骨を介して背骨につながるラインです。壁を押すなどの動作で親指寄りに押すことで胸に負荷がかかりやすく、小指側寄りに押すことで背中に負荷がかかります。

このように「筋肉のつながり」を理解していれば、負荷がかかりすぎな動作やフォームなども予測、察知しやすくなります。筋膜には先に説明した通りセンサーも備わっており、怪我をしない人は自然とそのような感覚が身についているとも言えます。

③「筋肉のつながり」を知るとセルフケアの効果が上がる

セルフケアで前屈のストレッチなどをする際にこの「後ろのつながり」が伸びてくれることで前屈のストレッチがやりやすくなります。「後ろのつながり」は身体の背面にあります。頭から背骨に沿って下降していき足の裏まで続いているつながりです。前屈はハムストリングなどのもも裏を伸ばすことが一般的ですが、このつながり上にある足裏、背骨に沿った筋肉などを緩めることでより深く前屈のストレッチができるようになります。