過半数が「経済政策ではバイデンよりトランプ」
ところが、ニューヨーク・タイムズ紙が10月から11月にかけて、大統領選の勝敗を決する激戦州6州で行った世論調査では、西部アリゾナ、西部ネバダ、南部ジョージア、中西部ミシガン、そして東部ペンシルべニアの5州で、トランプ前大統領がバイデン大統領を支持率においてリード。
特に、経済政策でどちらを信頼するかを尋ねたところ、トランプ氏が59%、バイデン氏が37%で、22ポイントもの差がついた。
この傾向は12月になっても変わっていない。ブルームバーグが12月に行った世論調査では、経済運営でどちらがより信頼できるかという質問に対し、トランプ氏が51%で、バイデン氏の33%に18ポイントのリードを保っている。
ここに引用した世論調査の回答者はそれぞれ異なる。それに世論調査はあくまでも世論調査であり、実際に有権者が投票用紙を前にして行う選択とは必ずしも同じではない。
だが、各調査で同じ傾向が出ているのは興味深い。
「バイデンのインフレ」よりトランプのほうがマシ
つまり、米国民の多くは、「トランプに大統領の資格はないが、経済政策の面で信頼できる」という一見矛盾した意見を持っているように見える。
しかし、これは決して破綻したロジックではない。
なぜ多くの米国民は、「不適格」のトランプ氏を大統領職に復帰させようとしているのか。2大政党制のアメリカにおいては制度上、大統領選挙では民主党員か共和党員のいずれかが当選する。
今回の選挙では無所属の有力候補者の出馬も見込まれるが、最終的には、民主党候補に指名されるであろうバイデン氏と、共和党候補になるのが確実視されるトランプ氏の一騎打ちの可能性が高い。
選択肢はバイデンかトランプだけである。
トランプ、バイデンのことがキライであっても、国民生活の苦境を改善するうえでどちらがマシかを考え、それを基準に投票しなければならない。
この点において、狂乱物価を効果的に制御できなかったと多くの有権者に見られている現職大統領のバイデン氏は圧倒的に不利だ。
逆に、トランプ氏は「バイデンのインフレはひどすぎる。こんなことならトランプの方がマシ」と見てもらえるわけだ。