トンネル網は巧妙に偽装されていた

イスラム組織・ハマスがイスラエルへの戦闘を開始してから7日で2カ月が経過する。イスラエル国防軍(以下「イスラエル軍」)はガザ地区への攻勢を強めたが、完全制圧には至らず、11月24日に戦闘休止となった(その後、2度の延長で合意)。

イスラエル軍の行く手を阻んだのは何だったのか。それは、ハマスが10年間をかけ築きあげた総延長500kmに達するともいわれる地下トンネル網だ。これが地上戦とはまったく異なる対処をイスラエル軍に強いた。

ガザ地区北部のガザ・シティにあるアル・シファ病院内で、ハマスの武装勢力が掘ったとされるトンネル内に立つ兵士(イスラエル軍の管理下で撮影され、編集された写真)=2023年11月22日
写真=AFP/時事通信フォト
ガザ地区北部のガザ・シティにあるアル・シファ病院内で、ハマスの武装勢力が掘ったとされるトンネル内に立つ兵士(イスラエル軍の管理下で撮影され、編集された写真)=2023年11月22日

軍事衝突が続くガザ地区北部では11月、子供用のベッドの下から、ハマスが使用しているとみられる地下トンネル網への入り口が発見された。イスラエル軍の戦闘技術部隊が見つけたこの入り口は、ハマスのトンネル網が、いかに巧妙に偽装され隠されているかを物語る。

武装集団とは無関係の家族が住む家が連絡口

タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、問題のトンネル入口は、ビーチサイドの高級住宅街にある一軒家にあった。洋服が散乱する子供部屋には3つのベッドが並び、そのひとつの下にトンネルへの通路が口を開けていたという。

イスラエル軍の予備役技術将校は同紙の取材に匿名で応じ、「ハマスのやり方は倫理に反しています」と批判している。「ハマスはトンネルを隠すために子供部屋を使い、子供用ベッドの下にトンネルを隠す……これが現実なのです」

記事によると、トンネルは地下で2方向に分岐し、ひとつは海岸方面へ向かい、もうひとつはより広大なトンネル網がある方向へと伸びていた。一見しただけでは武装集団とは無関係の家族が住む住宅だが、地下要塞ようさいともいうべき壮大なハマスのトンネル網への連絡口が隠されていた。