「アジア版NATO構想」は却下された?
アメリカより一足早く、日本に新たなリーダーが誕生した。
その石破茂新首相が相対することになる米大統領を決める選挙は、11月5日に迫っている。
果たして石破政権と相性がいいのは、カマラ・ハリス氏の民主党政権か、はたまたドナルド・トランプ氏の共和党政権なのか? 主に外交と経済に関して比較・考察してみたい。
石破氏が新首相に選ばれた直後、アメリカの報道で最も多く取り上げられたのは、対米外交の目玉として石破氏が掲げていた「アジア版NATOの創設」だった。ただし、どの報道もネガティブな反応を示している。
まずロイター通信は「石破新首相のアジア版NATOは、アメリカ外交を試すテストになる」という見出しで報じた。その中で、米政府の東アジア・太平洋担当国務次官補のダニエル・クリテンブリンク氏は、「性急すぎる」としてアジア版NATO案をすでに却下していたと伝えている。
トランプ氏では軋轢が生まれかねない
また記事では、石破氏がアジア版NATOを必要とする根拠として、アメリカの国力の低下を挙げているとしている。日本を庇護下に置く米国からすれば、そんな理由を掲げられてしまってはたまらないという戸惑いと、ある種の反感も伝わってくる。
現バイデン政権が拒否反応を示しているということは、ハリス政権になった場合も基本的にその方針を引き継ぐとみられる。
ではトランプ政権になればどうか? トランプ氏は前政権時代、アメリカ軍が日本や韓国を庇護しなければならないことに対し、「日本などの同盟国が自国防衛のために自らの役割を果たしてない」と不満を示していた。
ニューヨークタイムスは、「トランプ氏の新政権でもその主張が再燃する可能性はある」としている。そして、日米2人の指導者はいずれも同盟は不公平だと考えているが、その理由はそれぞれ違うとして、トランプ氏と石破氏の間に軋轢が生まれかねないことを示唆している。