「アンチ安倍」的言動がここへきて裏目に
一方、ウォール・ストリート・ジャーナルの見出しはもっと明確だ。
「米軍同盟の再構築を目指す新指導者が誕生。石破茂元防衛相は安保条約が不平等と批判」
本文では、トランプ政権時の2018年に同紙が行った石破氏へのインタビュー内容を紹介している。
「ワシントンに全面的な忠誠を誓うだけなら、日本は無視され続ける」
「トランプ大統領とゴルフをしたり、トランプ・タワーに行ったりする必要はない。日本は手ごわいと思わせることが重要で、取引のためのカードを用意する必要がある」
これらの石破氏の発言は当時の安倍晋三首相を意識したコメントと思われるが、いずれにせよ記事には、石破氏が首相になったことで、日米の緊張が高まる恐れがあると書かれている。
アジア版NATOを提唱したために、石破氏は早々にアメリカにネガティブなイメージを与えてしまったといえるだろう。
では経済に関しては、どちらの大統領候補が日本にとって、そして石破政権にとってベターなのだろうか? 両者の経済対策へのアプローチは大きく異なっている。まずトランプ氏からみていこう。
「立て直すことができるのはトランプだけ」
排外主義的な言動がよく炎上するため目立たないが、実は「経済」こそトランプ氏の最大のセールスポイントであり、この部分でハリス氏を大きくリードしている。
「ビリオネアの実業家出身だから、お金の扱い方を熟知している」という世間のイメージに加え、自身も「アメリカ経済はバイデン政権によって崩壊寸前で、それを救えるのは自分しかいない」というメッセージを繰り返し発信している。
「経済を立て直すことができるのはトランプだけだと思う」
筆者が出演するTOKYO FMのニュース番組「TOKYO NEWS RADIO~LIFE 」のためにニューヨークの街頭でインタビューした人の中で、トランプに投票すると答えた全員が、その理由として挙げたのが経済対策だった。
アメリカは日本以上にパンデミックによるロックダウンの打撃を受け、失業者が溢れた。それをバイデン氏主導による超党派が大型予算を投入し、労働市場を活性化させた。労働省が発表した9月の雇用統計によると、市場予想を大きく上回るペースで就業者が増加しており、歴史的に低い失業率を維持するまでに復興を果たしている。
株価も絶好調だ。14日にはS&P500種株価指数とダウ工業株30種平均が過去最高値を更新しており、世界で一人勝ちの状況になっている。