3人に2人のマネジャーが週1回以上部下を褒める
さて、調査対象者の若手マネジメントの状況を描写するために、いくつか結果を紹介する。
「現在何名の若手をマネジメントしているか」という質問に対しては、「2〜3名程度」が34.9%と最も多く、次いで「1名程度」が24.5%であった(図表3)。マネジメント対象となる若手は3名以下、という管理職が合わせて6割近くであった。
また、「マネジメント対象の部下の何%くらいが若手か」という質問に対する結果は図表4に示している。「25%未満」が36.2%と最も多く、次いで「25%」が29.3%であった。
これらの結果から調査対象の管理職の平均像としては、「数名程度の20代の若手がいる、10名前後のチームを率いる立場」にあると考えられる。
それでは、若手とのコミュニケーションスタイルなどを見ていこう。調査では様々な項目に回答を得ているが、図表5にその一部を整理した。
「職場の部下を褒めたり、たたえたりする機会」については、11.7%が「毎日のように」、29.9%が「週に数日程度」、25.0%が「週に1日程度」あったと回答している。およそ9人に1人のマネジャーが毎日のように20代の部下を“褒めたり、たたえたり”しているし、合わせて66.6%、3人に2人のマネジャーは週に1回以上は“褒めたり、たたえたり”しているということだ。
マネジャーは「叱責型」から「褒める型」へ移行
十数年前の筆者の新入社員時代と比べても、良い時代になったものだ。思えば遠くに来たものだと感慨を感じざるを得ない。しかし、これは現在の肌感覚にも合う結果だという方が多いのではないか。
また、「職場の部下にフィードバックや指導をする機会」では、頻度はそれぞれ、9.6%、20.6%、17.5%であった。合わせて47.7%が週に1回以上フィードバックや指導をしているが、合わせて66.6%だった“褒めたり、たたえたりする”よりもフィードバックや指導の頻度は相対的に低い。差し引きマネジャーの2割近くが“たくさん褒めているがそれほどフィードバックはしていない”という状況にある。
他方で、「職場で部下を叱責する機会」については同様に頻度の高いほうから、2.0%、5.4%、10.8%となっており、週に1回以上あった回答者は合わせても2割未満(18.2%)に過ぎない。
こうした結果はいまの感覚とは合致する方が多いと思うが、ここで立ち止まって考えていただきたい。読者諸氏が若手だった頃と比べてどうだろうか。よく褒める上司が約7割で、よく叱る上司が約2割なのだ。
十数年前までは逆だったのでは? とも感じてしまうが、お伝えしたいのは日本のマネジャー――若手のコミュニケーションスタイルは、“叱責型”から“褒める型”に移行しつつあることが調査結果からも示されていることである。その結果、若手はどんどん育つようになるのだろうか。