「飲みニケーション」「武勇伝語り」は一掃された

若手への具体的な働きかけについても調査で聞いている(図表6)。

筆者が率直に驚いたのは、「終業後などに、若手と飲食店・居酒屋等に行く」という項目に対して、「全く行わなかった」が29.0%に達し、「あまり行わなかった(1年で1〜2回)」27.7%と合わせて、実に56.7%が若手との飲み会を年に1〜2回以下しか実施していなかったことである。

調査実施時期は2023年3月であり、コロナショックが冷めやらぬ時期であったために仕方のないことかもしれないが、新型コロナウイルス感染症の影響の大小にかかわらず、若手との関係性が大きく変わりつつあることを改めて実感する方が多いのではないか。職場によっては、かつて上司・先輩と終業後に週に2〜3回は飲みに行った、という職場もあっただろうが、いまやほぼ一掃されたと言っていい。

また、「自分の成功体験を部下に話す」も頻度が高くないのは、飲み会の頻度が低いことと関係があるだろうか。“武勇伝を若手に話す”というシチュエーションは広く「かっこ悪い上司像」として捉えられており、マネジャー側が自制的になっているのかもしれない。

また、「自分の失敗談を部下に話す」よりも、成功体験を話す頻度がかなり低い点も興味深く、サーバントリーダーシップなどリーダーシップ論も異なる展開を見せてきたこともあり、日本のマネジャー像が変容していることがよくわかる。

気遣いのあまりイベントや勉強会に部下を誘えない

頻度が高い回答が多かったのは、「部下にわからないこと、不明確なことがあるかどうか確認する」や「部下のやりたいこと・やってみたいことを聞く」などであった。20代の部下に「わからないことはある?」と確認したり、「やりたいことはある?」と聞いてみる。

若手の部下に“心配り”“気遣い”をするような働きかけの頻度が高い状況のようだ。

他方で、「部下に自身の知り合いを紹介する」や「イベントや社内外の勉強会等に、部下を誘う・紹介する」は頻度が最も低く、若手に機会を提供するような働きかけがほとんどされていないこともわかる。心配りや気遣いはしているが、機会は提供していないのだ。

以上のような働きかけの効果の検証結果は後ほど示す。